冷え症の誤解
自分は冷え症と思っているが
温めることが過剰であると内熱(虚熱)を生じて
体調不良に至った一症例
70代女性
主訴:不眠・頭のふらつき・耳鳴
催眠導入剤を内服しても眠れない
他の鍼灸治療を1か月続けたが改善しない
脈診:緊細
舌診:紅舌・無苔・裂紋
弁証:肝腎陰虚証
処置:太衝 心兪(左右整えの灸を15壮)
足先が冷えるので体を温める為に
入浴は肩までしっかり20分
寝室は寝るまで暖房で温め
布団乾燥機で温めた掛布団を掛け
電気敷き毛布でさらに温めて寝ている
しかし夜間に足が火照り布団から足先を出して
背部の違和感(熱感)が気になり眠れない
自分は冷え症と信じひたすら温めた為に
肝腎陰虚証から陰虚陽亢した結果
不眠・頭のふらつき・耳鳴が発症した
病の根本原因を丁寧に噛み砕いて説明し
養生法として、入浴は半身浴で短めに
布団は温めず、電気毛布も控えめに
根菜類を控えめにバランスの良い食事などを指導した
今までの誤った自己診断が招いた結果であることを
理解していただければ主訴は消失するはずだ