突発性難聴+メニエール病の症例:聴力が回復傾向
今回は、突発性難聴とメニエール病が併発したケースです。
症状が重なりあうので、治療が難しいことも多いです。
今回は、鍼灸治療によって症状が改善傾向である症例をご紹介します。
◆発症から治療開始まで
X年X月5日、50代の女性が右耳の閉塞感を自覚。
7日に耳鼻科を受診し、翌8日には大学病院でステロイド点滴を開始しました。
しかし、治療中に強いめまいが出現し、点滴は途中で中断。
残念ながら、その後、難聴がさらに悪化してしまいました。
12日、当院を受診されたときには、オージオグラムで右耳全体の聴力低下(45〜60dB)、
特に高音域では80dBまで低下していることが確認されました。
◆東洋医学的な視点からのアプローチ
東洋医学的に診ると、この方は「肝火上炎(かんかじょうえん)」の状態でした。
ストレスや疲労などで「肝」が上に突き上げることで、耳の不調やめまいを引き起こしています。
この弁証に基づき、以下のような治療を行いました。
- 行間、照海への置鍼:体内の余分な熱を下げる
- 人迎、天柱への施術:内耳の血流改善を促進
◆治療後の経過
初回の治療直後から「外の音が聞こえやすくなった」と変化を実感されます。
4回目の治療後に再度オージオグラムを行ったところ、高音域がほぼ正常レベル(5〜10dB)まで改善していました。
耳鳴りも10段階中「10」から「5」まで軽減。完治には至っていませんが、日常生活への支障が大きく減少し、経過は良好です。
◆まとめ
突発性難聴とメニエール病を併発した場合、早期のステロイド治療が重要です。
今回は、症状が増悪したためステロイドを中断せざるを得ない状況でしたが、
早期の鍼灸治療により回復を促すことできました。
耳の不調でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。