古(いにしえ)の人
大古の人こそ、最高の知の所有者といえるのではなかろうか
なぜならば、かれらは自然そのままの存在であり
彼らの意識は主客未分化の、いわば混沌状態だったと考えられるからである
この混沌こそ、もっとも望ましい在り方なのではないか
時代が下ると、人びとは自己を取り巻く世界を意識しはじめた
こうして認識作用が生まれたが、客体としての事物に区別は立てなかった
さらに時代が下ると人びとは事物の区別を意識するようになったが
まだ価値概念は発生しなかった
しかし、やがて価値概念が発生するや「道」は虧なわれた
そして「道」が虧なわれると同時に、人間の”執着心”が成ったのである
≪荘子≫より抜粋
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