フィジカルアセスメントの重要性

70代男性、坐骨神経痛(大腿後面の痛み)を主訴に来院される。

信頼をおいている他院の先生から「あなたは坐骨神経痛になりますよ。」と言われたあとから、

本当に坐骨神経痛になったとのこと。

坐骨神経痛では、間欠性跛行、SLR陽性、感覚障害、筋力低下、腱反射の消失

などの理学検査や神経学的所見に異常をみとめます。

また、神経痛を疑う場合、痛みの性質は「ピリピリ」「ジンジン」「ズキズキ」など

比較的、鋭い痛みが起こるのが特徴です。

患者さんの訴えは、“なんとなくだるい”

もちろん神経学的、理学検査所見に異常はありません。

軽い筋肉の緊張が“なんとなくだるい”を引き起こしたと考えました。

坐骨神経痛では無いことを説明し、筋の緊張を緩める鍼とストレッチの指導を行いました。

患者さんの病態を、鍼灸師が鑑別するためには、

フィジカルアセスメント(問診、触診、聴診などの客観的な情報)がとても重要です。

時間はかかりますが丁寧に行うことで、適切な「病態把握」と「病状説明」に繋がるのです。