「普通」ってありがたい
もうすぐ91歳を迎える患者さんに、言われた。
「普通ってありがたいわね。」
「戦争の時と比べると、空襲がないだけましよ。」
その方は、全身に痛みを抱えながらも、毎週治療に来てくれている。
「痛い、痛い。」と言いながらも、いつも笑顔で帰るおばあちゃん。
「うーん。」と声が出た。
私たちは、ウイルスによって当たりまえな「普通」を奪われてしまった、ように思う。
でも、それは違うんじゃないか?
安定した食料の供給はある、医療資源も整っている。
社会保障制度も整いつつある。
一歩ひいてみると、じつはこれだけの豊かさが日本にはある。
戦時中と比べることはできないけど、
その時代を生き抜いてきた人の言葉が「ずどーーん」と刺さった。
いま私たちに必要なのは悲観するわけでも、批判するわけでもない。
「難が有る」ことを、「有難い」と思える、
こころのありかた、ではないだろうか。