フェザータッチの重要性:触れることの意味
今日は鍼灸師のもっとも重要なスキルのひとつ「フェザータッチ」についてお話します。
フェザータッチがていねいに、正確にできるかどうかは鍼灸の効果におおきく影響するのです。
フェザータッチとはその名のとおり、羽毛で皮膚をなでるような軽微なタッチのことです。
東洋医学では「切診」といわれる診察方法がありますが、「切」というのは、切り離すという意味ではありません。
もう一つ、ぴったりと密着するという意味があります。
術者の皮膚と、患者の皮膚がフェザータッチを介してぴったりと密着してる状態。
触れられている患者さんはとても心地よい感覚です。
一方、術者は患者の皮膚(ツボや経絡)からさまざまな情報を読み取っています。
発汗、軟弱、緊張、硬結などなど・・・
その皮膚からの情報をもとに、鍼を打つツボを選択するわけです。
しかし、フェザータッチで「切診」を行うと、診察そのものが「治療」という意味を持ちます。
すなわち、すでに鍼を打つ前から、フェザータッチにより気の流れが整い、治療が行われているのです。
話は変わりますが、とある医師が「すべての患者に必ず聴診器をあてる」とおっしゃっていました。
体に触れるという行為に治療的側面を持つのは、鍼灸師だけではありません。
もちろん「触れる」という行為が、信頼関係のうえに成り立つことは忘れてはいけません。