咳喘息には灸を!
咳喘息にお灸が有効だった症例紹介
今回は、咳喘息に対してお灸が効果を発揮した症例をご紹介します。
症例:60代男性
この方は2月に風邪をひきました。風邪自体は数日で治ったものの、その後、乾いた咳が夜中にひどくなり、眠れない日々が続いていました。特に就寝後や夜中に咳が出やすく、体力的にも消耗が激しい状態でした。
咳喘息とは?
咳喘息は、長引く咳を特徴とし、気道の炎症によって起こります。喘鳴(ゼーゼーする音)がないため一般的な喘息とは異なりますが、放置すると約30%が本格的な喘息へ移行するとされています。そのため、早めの対処が重要です。
中医学的な見立て
中医学では、この患者さんの症状を「肺陰虚(はいんきょ)」と「肺気不宣(はいきふせん)」と判断しました。
- 肺陰虚:肺の潤いが不足し、乾いた咳が続く状態。
- 肺気不宣:肺の気が滞り、正常な呼吸機能が妨げられている状態。
このような場合、肺の機能を整え、潤いを補う治療が必要となります。
お灸治療と効果
治療には「肺兪(はいゆ)」というツボにお灸を施しました。肺兪は背中にあるツボで、肺の働きを高める重要なポイントです。
結果として、2回の施術で咳がほぼ止まり、夜間もぐっすり眠れるようになりました。
なぜお灸が効いたのか?
お灸には以下のような作用があります。
- 免疫機能の調整:お灸の温熱刺激が免疫を活性化し、気道の炎症を抑える。
- 自律神経の調節:交感神経と副交感神経のバランスを整え、気管支の収縮を抑える。
呼吸器症状に対するお灸治療は、アメリカや中国を中心に臨床研究が進んでいます。
たとえば、COPDや気管支喘息、コロナの後遺症による咳に有効であるという報告もあります。
まとめ
今回の症例では、咳喘息の症状に対し、お灸が短期間で効果を発揮しました。
咳喘息は早めの対処が大切なため、長引く咳に悩まされている方は、ぜひ鍼灸治療を検討してみてください。