気逆について

≪黄帝内経・素問≫評熱病論篇 第二章

太陽(膀胱経と小腸経)は体表を支配していて

陽気が一番強いところである

そこで最初に邪気が侵入する場所である

太陽と少陰は表裏の関係にある

故に太陽が邪気に侵されていて発熱すると

少陰(心経と腎経)も反応して下から上に突き上げるような

症状を引き起こす。これが厥(逆)である

【注釈】

気の上逆によって足の冷え腹部血管の上逆感

すなわち心下逆満、心悸亢進、動悸、のぼせ、めまい等の症状を示す

また、脳血管神経が侵されて頭痛、脳卒中となる

主として少陰心、腎の気逆であるが、陽明胃経、厥陰肝経の厥逆もある

患者さんの声 頚椎症性頚髄症

長年苦しんでいたしびれや痛みから解放された

患者さんの声を許可を得て掲載させていただく

頸椎症性頸髄症                 デサキ ムツモリ 41才

H25年8月から肩が挙がらなくなり、左手のしびれが出てきて、

左の握力は5㎏程度になりました。

右の手も可動しにくくなるという状態に悩み、いくつもの大きな病院にかかり、

通院、入院、リハビリを続けていました。(診断は頸椎症性頸髄症)

右の手はリハビリで少しは回復したものの、

しびれは続き固まった感が強く、指の動きも悪いままでした。

そこで鍼治療に望みを託してみようと思い、

他の鍼治療院に通っておりましたが、あまり効果は見られませんでした。

あきらめかけていた所に、長岡治療院の先生のお話を伺い、

とても症状のひどい日に左手に鍼を打っていただきました。それも1本の鍼だけです。

鍼を抜いてもらったところ、1年半動かなかった指が動き、

しびれが緩和され驚くほど楽になりました。

1年以上悩んでいたしびれが、たった1本の鍼で良好な結果を得られたことに

感動と魔法にかかったようでした。

今後も治療を続けて完治するという希望が見えました。

今後ともよろしくお願いいたします。

※病名は頚椎症性頚髄症であったが、弁証は陽明大腸経の経気不利と診たて

左合谷に3番鍼で15分置鍼しただけで著効を示した一症例

魂に効いた肝兪

毎日続く頭痛に悩まされていた40代の患者さん

2~3週間鎮痛剤を3回/日内服しても治らない

頭痛の原因は残業カットによる過密スケジュール

仕事中は常にイライラしているという

入念な体表観察により右肝兪に25分置鍼

治療後はベッドで10分休んでいただいた

その後ほぼ1週間頭痛はなくなり鎮痛剤もいらなくなった

しかも過密スケジュールは変わらずとも”イライラしなくなった”という

一本の鍼が心~魂に効いたといえる

邪気と発汗

≪黄帝内経・素問≫評熱病論篇

今、邪気が体表の骨肉において精気と戦って

汗が出たということは

これは精気が勝って邪気が退去したのである

精気が勝った場合は食欲が出てきて

熱も発せないはずである

再び発熱するのは邪気の為である

汗は精気から作られるものであった

故に汗が出るということは

邪気が汗とともに体外に排泄されたことを意味する

ところが今、汗が出たのにもかかわらず

またすぐ熱が再発したのは邪気の力が強くて

汗によってこれを前面的に排除できなかったからである

今朝から本格的な寒波の襲来で風邪が多くなるだろう

こういった邪気(風邪)と発汗の関係性は

風邪の治療とともに予後を予測するために重要な記述である

不安神経症・治療感想

不安神経症の治癒患者さんから

治療を受けた感想をいただいたので、許可を得て公開させていただく

名古屋市在住29才女性

ある日、突然パニックを起こし、吐き気や何も手につかない感覚に襲われました。

それ以来。不眠にもなってしまい、不安が頭から離れずノイローゼのような状態でした。

心療内科に通い、抗不安剤を飲んでいました。

睡眠薬も飲みましたが体調は良くなりませんでした。

毎日、何とも言えない不安(家族といても1人のような不安、予定がない不安、

出かけられるかわからない不安、食事がのどを通らない)

生きているのが不安の毎日でした。

そこで、インターネットで鍼治療が効くということを知りました。

何件か鍼治療院に行きましたが効果がなく、

諦めていたときに出会ったのが長岡先生のブログでした。

初めての診察の時、先生に「あなたの病気は絶対に治る

1ヶ月で寝られるようにしてあげる」と言われました。

その言葉の通り1ヶ月で不眠が治っていき、不安感も少しずつなくなってきました。

笑えるようになり、友人にも会えるようになり、いつもの自分に戻ってきました。

治療から3ヶ月たった今、毎日安眠でき不安のない日を送れています。

先生に出会っていなかったら、薬づけになっていたと思います。

治してくれてありがとうございました。

※心肝不和と弁証し北辰会式少数鍼が奏功した症例

隠れて支えている物事を大切に

老子の言葉

重いものにはそれを支える軽いものがその根底に必ず存在する

大木を支えているのは細かい根っこであり

大国を支えているのは個々の弱い人間に過ぎない

軽いものが多く集まればこそ、大きなものを支えることが可能になる

物事を静観することで、多くの心配事や心のざわめきを操縦することができる

主人に自分がなることができる

このようなことを理解している聖人は

一日中ずっと行動していても

働いてくれる荷物を積んだ馬車の側を離れようとはしない

自分の下で働く人間や動物たちの労働のお蔭を知っており

またこれが自分の財産を守ることを知っているから

また、聖人はきらびやかな光景や豪華な宴席に迎えられても

下々の人たちのことを忘れずに超然として心が左右されることがない

ましてや一国を代表する人間は天下の物事に軽々しく左右されてはいけない

代表者の行動が軽ければそれを支える人々を失うことになる

そして、心が落ち着いていなければその立場を失うことになる

[解説]

この老子の言葉は現代社会においてもすべて当てはまる

①子供や老人たちが存在するお蔭で家庭が成り立つことを改めて知ること

②家族の小さな声にも耳を傾けること

③他家や知人たちの豪華な生活に惑わされないこと

④もしそのような栄華に惑わされて軽率な行動をとれば家庭を失うことになると知ること

起立性機能障害の治療

高校生陸上部男性

運動後に時々突発的に気色が白くなり、頭痛と視野がぶれて

原因不明の症状から惹起する不安感の訴え

内科医から起立性機能障害の診断であるが治療法はない

血圧を詳しく測定すると

治療前に仰臥位で128/50㎜Hg 立位で94/60㎜Hg 

起立性低血圧による不定愁訴と診たてることができた

”百会の置鍼後”に血圧を再度測定すると

仰臥位で118/48㎜Hg 立位で118/60㎜Hg 

主訴に影響する収縮期血圧の変動は全くなくなった

週に一度の通院を一ヶ月程度続けることで治る見込みと

本人と母親に説明することで不安感んも癒えたようだ

鍼一本の素早い効果に新人スタッフが大いに驚いた様子

血圧測定するときははポーカーフェイスだよ

大いなる母性その2

昨日の続き

老子は宇宙の四大要素として、人、大地、天、宇宙の母性を挙げている

その中に、人が入っていることの重要性とその責任を感じる

人は自分のことも、他人のことも、大切にして生きていかねばならない

それが大いなる母性を助けることになるはずだ

大いなる母性

老子の言葉

何か混沌として混じり合ったモノが宇宙の始まりに存在した

それは、天地が始まる以前から存在している

それは、静寂として独自に存在しており

新しく変わるということもなく

遍くすべてに浸透して存在している

それは、この世界を生み出した大いなる「母」と呼ぶべき存在

しかし私たちはその正体を知ることができない

だから私はこの存在を「道」と名づける

この大いなる存在は、どこまでも拡大していく

拡大していけばどこまでも遠くに達っする

そして、本当の遥か遠くに達しきれば、また縮小して戻ってくる

だから、道は大である

天も大でもある

地も大であり、人間も大である

この世には四つの大きな存在がある

人間もその重要な一つを占めている

人間は大地に沿って存在し

大地は天に沿って存在し

その天は道(大いなる母性)に沿っている

道(大いなる母性)は自然のあるがままに沿って存在している

[解釈]

二千五百年前に生きた老子が、現代宇宙物理学における宇宙誕生の仮設

「ビッグバン」を描写して説明していることは驚嘆するしかない

つまり、現代に生まれた人間にしか老子の言っている内容は理解できなかった

「無限に拡大して、達しきれば縮小に転ずる」

 陰陽論の原点がそこにある

「陽極まれば陰に転じ」「陰極まれば陽に転ずる」

この東洋医学の基本原則がそこには書かれている

老子の思想と東洋医学は深いつながりを持っている

合谷一本の効果

40代男性

主訴:1年前から左肩関節痛、頸部痛、両側手指DIP関節痛・手指知覚過敏

   問診中に椅子に座っているのが苦痛なほど頸部痛、肩関節痛は酷く

   手指はこわばり握ることができない、肩関節は上に挙げられない

   総合病院を転々とし、他で鍼灸治療を受けるも変化なく悪化するので

   心配された会社の社長が知人の紹介で車に乗せて来院

   ご自分で車の運転が全くできない状態

   1時間の問診と詳細な体表観察により

弁証:気滞血瘀・陽明大腸経の経気不利

処置:左合谷に3番鍼で15分置鍼、ベッドで15分休憩

経過:治療後には一年間毎日続いていた酷い痛みが、驚くことにほぼすべて消失

   手指の知覚過敏消失、手を握ることが可能、肩関節可動域正常、頸部痛消失

   第2診の今日も経過はよくご自分で車を運転して来院された

   患者さん、同伴者、担当した小生を含め誰もが目を見張る回復を示し

   たった一本の鍼の効果、北辰会式体表観察の素晴らしさに改めて敬服した症例