身体表現性障害

身体表現性障害とは

西洋医学であらゆる検査を受けて異常がないにもかかわらず、

痛みや吐き気、しびれなど多くの様々な身体的な症状が

長い期間にわたって存在する状態をいう

症状は体のさまざまな場所に生じ、しばしば変化する

患者さんの中には、症状を身体的に説明する原因がないことを

なかなか受け入れられず、医療機関を転々としてしまう方も多い、

進行すると仕事や家庭などにおける日常生活に支障が出てくる

充分な問診もされずにうつ病と診断され

抗うつ薬を処方されても良くならない

この病には心理社会的な背景が複雑に潜んでいるので

時間をかけた問診が必要であるが

病院でほとんどされないので

病の根本的な背景をつかむことができない

名大病院総合診療科は信頼できるので受診をお勧めできる

東洋医学では元々心身一如の生体観がある

当院のように初診の1時間の問診をすると

かなり病気の背景を探ることができ

通院されることで信頼関係が築ければ

鍼灸治療で充分に対応可能である

病の根本原因を患者本人から気付くことが最終目標となる

風邪の発熱

風邪をひくと高熱が出て肺炎になりやすい女児

肺炎になると入院となり本人家族も大変だ

治療目標は風邪をひいても肺炎に至らないようにすること

週に一度の小児鍼の治療を始めて3ヶ月

昨夜38°発熱したが、薬を飲まず一晩眠ってしっかり発汗した

今朝には平熱に下がり、本人はいたって元気

発熱は”生気と邪気の戦い”が体内でおきた結果であって

発熱を無理に下げない方が自然治癒力を高め、丈夫な身体になる

今回の発熱に対してご両親の対応は冷えピタを貼っただけ

発汗することで熱が冷めるのも早くなる

抗癌剤副作用に対する鍼灸治療

70歳♂

主訴:抗癌剤副作用による食欲低下、体重減少、味覚異常、舌の痺れ、足底の痛み

腎臓癌により、右副腎と肝臓の一部摘出Ope

Opeは成功し、転移なし、腫瘍マーカー(-)

再発予防で抗癌剤を内服、副作用に苦しむが主治医は再発予防で必要との判断

滋陰目的で照海に置鍼10分~20分の処置を2カ月続け主訴は軽減、食欲出る

以降は胃の気を補う目的で、滑肉門に置鍼20分、足の三里に施灸

4か月目に主治医が減薬しても良いとの指示が出て更に体調が良くなる

治療開始して半年で4㎏体重増加、一年前に予後不良と言われていたが

旅行に行けるようになり、経過は極めて良好

抗癌剤は、食欲減退により胃の気が弱ることで

自然治癒力を著しく低下させる

免疫力を上げ、再発予防を目的とした鍼灸治療は

多くのがん患者さんを救うことができる

アレルギー性上気道炎の診断

喉の痛みや、鼻水を訴える患者さんが多い

脈診では風寒邪を受けていないので風邪ではない

多くは肝気犯肺による、アレルギー性鼻炎、咽頭炎、結膜炎だ

耳のツボで、神門、内鼻、気管に圧痛が認められば診断は確定する

治法は0.3mmのパイオネックスを耳に貼付するだけ

簡便で、有効な治療であるが、根治を目指すのであれば

アレルギー疾患も勿論、本治法でアプローチする

陰陽の一般論

≪黄帝内経・素問≫太陰余命論篇 第二九 第一章

陰陽の一般論

人体の陽とは自然界の天の気に相当し

エネルギーの供給と消費を司る

そこで人体の外部すなわち頭と手足の機能を主宰している

陰は地の気に相当し

エネルギーの生産と貯蔵を司る

そこで人体の内臓の機能を主宰している

故に陽経には活動に備えて精気が充実しているが

陰経の方はエネルギー生産の時を除くといつも精気は虚している

虚実論

虚実とはなにを示すのか

≪黄帝内経・素問≫第2巻第1章 虚実論

病変を起こしている局所の組織が硬くしこり、充実した状況を示す時

これを”実”と言う

邪気すなわち外来性の病因因子の侵襲力が強く

人体の反応力(精気)も強く

両者が激しく拮抗する時に起こる(邪生闘争)

局所の組織の緊張が低下し、軟化、陥凹など虚弱化した反応を示す時

これを”虚”と言う

精気すなわち人体の抵抗力が脱落した時は

邪気に一方的に侵害されてこの様な状態を起こす

鍼灸治療において最も基礎的な鑑別はこの”虚実”を見分けることである

望診・聞診・問診・脈診・舌診の全ての診察法を動員して素早く判定する

最も重要なのは”脈診”である

一見”虚”にみえても”虚実狭雑”していることもあるので注意が必要

老子の思想その3

小原村四季桜 患者さん提供

”足るを知れ”

何事も、いつまでも満腹にし続けようとするのはやめたほうがよい

逆に短命になります

心身を鋭く尖らせれば、逆にその分何事も長く継続することができません

焦らずに気楽にしているのが得です

金銭財宝を持つほど、それを守るための悩みと身の危険度が増し

殺されかねません、一体何のための財産なのでしょうか

人間は、富裕を手に入れて傲慢になれば、逆に多くの罪も侵すものです

これが自分の寿命を削り子孫に悪い因縁を残すことにもなります

だから人間は他人のためになる仕事をやり遂げたならば

営利をいつまでも貪らずにさっさと隠居するのが天の道なのです

[解説]

人間は満腹になるよりも腹八分目が良い

老子は、社会の成功者になって傲慢になれば

多くの人が知らずに罪を犯しやすい事を指摘しています

例えば独裁的な経営者による思いやりのない人事異動は

その社員だけでなく家族の運命も変えてしまうことがあります

最後の句は、政治家や権力者には耳の痛い言葉です

年をとれば周囲に迷惑をかけずにキレイに身を引くことができる人間が

どれほどいるのでしょうか

昨日参院で特定秘密保護法を強引に採決に持ち込んだ与党にも

聞かせたいものです

介護予防運動

近隣の老人介護施設(シニアホーム)とコラボして

鍼灸師であり、介護予防運動指導員の資格をもつ当院スタッフが

訪問して利用者さんに対してほぼ毎日介護予防運動の指導をしている

認知症予防、進行抑制の鍼治療も合わせてしているので

入居者さんには大変好評で希望者が後を絶たない

一度に指導できる方は5~6人迄

最近は2部に分けて実施するようになった

介護施設の入居者は殆ど運動不足で

廃用性の筋委縮も進みがち

運動不足は認知症も来たすので

積極的な運動指導はQOLの向上に貢献する

類剥苔の症例

25歳♀

主訴:精神的な疲労・舌苔のはげ

仕事のストレスによって、精神的に疲れ舌の苔が剥げる

類剥苔とは舌苔の剥落が部分的で

地図状に苔が剥落した剥落部分が、変化することで

化源不足によって気血の補給が断続したり、不均等になる

「気血不統」によっておきる

弁証:肝鬱気滞による気血不統

処置:右後谿 左肝兪に10分置鍼

経過:2回の処置で舌苔の剥げは消失、メンタル的な疲れも気にならなくなる

考察:肝気の巡りが改善し苔の新生が認められた

写真の上は第1診目、下は第3診目

老子の思想その2

”人の心は武器を制する”

人間の心とは、まるで空の容器でもあるかのように

何の力も無いように人は思っています

しかし、心の大きさと働きは、何をいくら注ぎ込んでも

一杯にならないほど広大無辺であり無限の力を持つものである

人の心の深さとは底(限界)が見えない淵のように奥深くて

万物を生み出す大もとが人の心に存在するようです

人の心は万物の鋭さを丸く収めることができます

つまり、刺々しい人間関係や国家間の刃物(武器)の尖端をも

人の心は丸くすることが可能なのです

心は物事のもつれや誤解を解きほぐし

強い怒りの光をも和らげることができます

そして、この世の人の汚い部分や悲しみにも

人の心は他人と共有することができます

※2500年前の老子のこの言葉を

 老子を生んだ隣国の指導者に読み解いてほしいものです