葛根湯証

よく風邪の初期には『葛根湯』と言われているが

風邪の初期症状でも様々、体質や病態によっては副作用が出る場合もある

『傷寒論』を参考にすると正しく処方ができるので解説したい

「太陽病、項背強ばり、汗なく、悪感するは、葛根湯これを主る」とある

これは病が主として項背に鬱し、発散できないでいることを示します

この場合は、病は表にあり、骨節に至っていないので、筋肉痛による痛みやこりを自覚します

しかし、無汗(汗が出ない)なので表が塞がれているのが特徴です

必ず寒気(悪感ほどではない)を伴います

脈は浮き硬くなりことも鑑別するポイント

微熱があったり、節々が痛む、咳が出る場合は葛根湯は使えません

叉、虚証のヒトにも適しません、場合によっては胃腸に負担がかかります

これらの除外するポイントが無ければ、風邪のひき始めに早めに服用すると

速効性があります、但し、3~4回内服して効果が見られない場合は

「証」が違うということなので、専門家に診てもらう必要があります

次回は『麻黄湯』の解説をします

雨水

昨日は旧暦二四節気で”雨水”

雪が雨に変わり、雪や氷は溶けて水となるとあるが

今日の名古屋の最低気温は氷が解けるどころか

-2.5℃だった

今年の北陸や東北地方は豪雪となり

さぞかしご苦労されていると思う

太平洋側は毎日酷い乾燥(湿度は30%台)

花粉も少々飛び始め、肝鬱傾向のヒトには

既に花粉症が始まっている

治療は肝気を下す・温補補腎が中心となる

蓮風鍼

当院では長年タフリー社のディスポ鍼を使っている

長さは15mm~60mm

太さは直径0.12mm~0.3mm

数種類の鍼を患者さんの体質、部位によって使い分ける

藤本蓮風先生がタフリー社に造らせた”蓮風鍼”

この鍼は鍼先が今迄にない形状をしており

非常にしなやかで刺入しやすい

少々太い鍼でも無痛で刺入できる

順次この蓮風鍼に入れ替える準備をしている

コストは上がるが、道具にこだわるのは技術者として必然だと思う

セカンドオピニオン

内科の医師からの紹介患者さん

70代♂

主訴:歩行障害(小刻み歩行・すくみ足・同じ場所で方向転換ができない)

現病歴:上行大動脈瘤のOpe後より発症、徐々に悪化、パーキンソンは否定されている

    整形外科のリハビリで変化なく、かかりつけの内科医から当院を紹介される

弁証:肝陽上亢

処置:右太衝

経過:歩行の状態は良い変化が認められるが、特に方向転換で足がすくむので

   セカンドオピニオンとして、提携先のクリニックで脳MRI検査を受ける

   結果左中大脳動脈の一部に循環不全が認められた

   有名な大病院では指摘されなかった異常なので、セカンドオピニオン

   としては無益ではなかったと考える

今後の対応:提携先のクリニックと連絡を取りながら、西洋医学による検査で病態を把握しながら

      東洋医学で治療していくという統合医療が必要とされているケースだ

傷寒論とは

東洋医学の古典に『傷寒論』という重要な文献がある

西暦196~204年にかけて後漢の張仲景が著した

どんな文献かと言うと

1・外感熱病の識別と治法を論じた専門書
 
  所謂”風邪”の様々な病態(インフルエンザも含め)を分析し

  風邪の病態に応じた漢方薬の処方を詳しく著している

2・弁証論治として六経分証(太陽・陽明・少陽・太陰・少陰・厥陰)

  をもって諸病を包括しており、内科雑病を論じている

この『傷寒論』を理解することにより

より多彩な病に対する対応ができ

病の変遷の見通しができるようになる

今日の勉強会は傷寒論の入り口である

太陽病(感冒)の弁別法を勉強した

最近特にインフルエンザを含め風邪の患者さんが多いので

より適切な治療とアドバイスができるようになるはずだ

空間論講義

昨日は名大病院内の鶴友会館で

(一社)愛知県鍼灸専門師会主催の研修会が開催され

第2講で90分の「空間論の痛みの治療」の講義をさせていただいた

研修会の予告が遅くなり30名の参加者であったが

参加者は皆勉強熱心な学生や臨床家ばかりで

真剣に集中して受講していただいた

非常にシンプルで有効、かつ、全く新しい治療法

実技の実際はモデル患者に対して実際の検査法と治療をお見せした

充分予行練習をした甲斐があって落ち着いて時間通りに進めることができた

いつも感じることは、若い鍼灸師への教育目的で研究発表をすることが

自らのスキルアップに繋がり臨床能力が高まると感じている

これからも機会があれば研究発表を増やしたい

頚肩部痛と空間論

鍼灸専門である当院では

肩こりが主訴でもかなり慢性化して重症か

頚椎の異常や、頚肩部の痛みを訴える症例が多い

いわば市井の按摩さんで楽になるような方は来院されない

数年来の痛みや凝り不快感、頭痛やのぼせ耳鳴り眩暈を伴う複雑な症例でも

現在の研究テーマである「空間論」による

気の偏り「偏在」を整える目的での少数鍼が

威力を発揮する

空間的な気の偏りが整っていくと

治療中に患者さんが変化に気付き

「気の動き」を自覚し、緊張が緩み、寒熱の偏りが整っていく

治療後の変化に「スゴイ!」「何これ!」と驚きの声を上げることが珍しくない

小児発達障害

2~3才で言葉のコミニュケーションができないお子さんに対して

小児鍼はとても有効かつ積極的な治療法となる

体質や気質によって効果の発現にばらつきがあるが

2~3回の治療で言葉が出始め、周囲が変化に驚くといったケースもある

言葉は耳から脳にインプットされメモリーできていても

自分の言葉として情報を処理してアウトプットができない

小児鍼で軽い皮膚刺激を全身に施術することは

脳循環の改善に繋がり、アウトプットが始まると

言葉のメモリーが多ければ日に日に言葉が増えていく

御両親はお子さんに対して神経質にならず

おおらかに接し、沢山褒めてあげること

スキンシップを怠らないことがとても大切

発達障害を病気と捉えずに”個性”と認識して接することだ

統合失調症経過

20代♀

その後の経過は

週に一度の治療を続けて

数種類あった薬は減り

統合失調症への治療薬が1種一日1錠のみになった

幸せな結婚を経て妊娠が確認された模様

発症当初、医師から「薬は一生飲み続けなければならないので、妊娠も難しい」

と心ないことを言われたのだ

大丈夫、薬は止められる、鍼でサポートしているから

三叉神経痛著効

80代♀

数年前から右三叉神経痛発症

あまりの痛みに入れ歯が入れられず

流動食のみであったが

数回の治療で一日3回の抗けいれん剤の内服を

頓服程度に減量しても激痛がほとんど緩解し

入れ歯が入るようになった

空間診による右上前の気の偏在と診たて

百会右 補腎で右腎兪に鍼をした結果である