傷寒論とは

東洋医学の古典に『傷寒論』という重要な文献がある

西暦196~204年にかけて後漢の張仲景が著した

どんな文献かと言うと

1・外感熱病の識別と治法を論じた専門書
 
  所謂”風邪”の様々な病態(インフルエンザも含め)を分析し

  風邪の病態に応じた漢方薬の処方を詳しく著している

2・弁証論治として六経分証(太陽・陽明・少陽・太陰・少陰・厥陰)

  をもって諸病を包括しており、内科雑病を論じている

この『傷寒論』を理解することにより

より多彩な病に対する対応ができ

病の変遷の見通しができるようになる

今日の勉強会は傷寒論の入り口である

太陽病(感冒)の弁別法を勉強した

最近特にインフルエンザを含め風邪の患者さんが多いので

より適切な治療とアドバイスができるようになるはずだ

空間論講義

昨日は名大病院内の鶴友会館で

(一社)愛知県鍼灸専門師会主催の研修会が開催され

第2講で90分の「空間論の痛みの治療」の講義をさせていただいた

研修会の予告が遅くなり30名の参加者であったが

参加者は皆勉強熱心な学生や臨床家ばかりで

真剣に集中して受講していただいた

非常にシンプルで有効、かつ、全く新しい治療法

実技の実際はモデル患者に対して実際の検査法と治療をお見せした

充分予行練習をした甲斐があって落ち着いて時間通りに進めることができた

いつも感じることは、若い鍼灸師への教育目的で研究発表をすることが

自らのスキルアップに繋がり臨床能力が高まると感じている

これからも機会があれば研究発表を増やしたい

頚肩部痛と空間論

鍼灸専門である当院では

肩こりが主訴でもかなり慢性化して重症か

頚椎の異常や、頚肩部の痛みを訴える症例が多い

いわば市井の按摩さんで楽になるような方は来院されない

数年来の痛みや凝り不快感、頭痛やのぼせ耳鳴り眩暈を伴う複雑な症例でも

現在の研究テーマである「空間論」による

気の偏り「偏在」を整える目的での少数鍼が

威力を発揮する

空間的な気の偏りが整っていくと

治療中に患者さんが変化に気付き

「気の動き」を自覚し、緊張が緩み、寒熱の偏りが整っていく

治療後の変化に「スゴイ!」「何これ!」と驚きの声を上げることが珍しくない

小児発達障害

2~3才で言葉のコミニュケーションができないお子さんに対して

小児鍼はとても有効かつ積極的な治療法となる

体質や気質によって効果の発現にばらつきがあるが

2~3回の治療で言葉が出始め、周囲が変化に驚くといったケースもある

言葉は耳から脳にインプットされメモリーできていても

自分の言葉として情報を処理してアウトプットができない

小児鍼で軽い皮膚刺激を全身に施術することは

脳循環の改善に繋がり、アウトプットが始まると

言葉のメモリーが多ければ日に日に言葉が増えていく

御両親はお子さんに対して神経質にならず

おおらかに接し、沢山褒めてあげること

スキンシップを怠らないことがとても大切

発達障害を病気と捉えずに”個性”と認識して接することだ

統合失調症経過

20代♀

その後の経過は

週に一度の治療を続けて

数種類あった薬は減り

統合失調症への治療薬が1種一日1錠のみになった

幸せな結婚を経て妊娠が確認された模様

発症当初、医師から「薬は一生飲み続けなければならないので、妊娠も難しい」

と心ないことを言われたのだ

大丈夫、薬は止められる、鍼でサポートしているから

三叉神経痛著効

80代♀

数年前から右三叉神経痛発症

あまりの痛みに入れ歯が入れられず

流動食のみであったが

数回の治療で一日3回の抗けいれん剤の内服を

頓服程度に減量しても激痛がほとんど緩解し

入れ歯が入るようになった

空間診による右上前の気の偏在と診たて

百会右 補腎で右腎兪に鍼をした結果である

慢性関節リウマチの治療

かれこれ10数年往診に伺っている慢性関節リウマチの患者さん

寝たきりではなく、日常生活動作はベッド周囲で何でもできる

初診時は冬になると全身の関節の痛みや下肢の強い冷えを訴えていたが

今年の強い寒波のさなかでも、体調は良好

東洋医学でいう”補腎”の治療を続けている

関元への施灸と、湧泉の軽い指圧(鍼ができないところなので)

布団の中で冷えを感じないので、腎気が高まり、陰陽のバランスが整ったと考えられる症例

頚部ジストニア治癒

30代♂

5年前より左頚部ジストニア発症

ボツリヌス菌注射をするも一時的に改善するが治らない

鍼治療を根気よく続けて5年

長年内服してきたアーテン内服を中止しても悪化なし

現在は再発予防で月に一度の治療を継続中

極めて経過は良好である

今年のスギ花粉

環境省は27日今年の花粉飛散量の予測を発表した

スギ花粉の飛散時期は例年より遅く

東海地方では2月中旬~3月中旬

飛散量は非常に多かった昨年より少なく

例年並みかやや少なめとなる見込みとのこと

1月の低温が続いているため開花が遅くなりそうだ

しかし、アレルギー性鼻炎の患者さんはこの時期から

確実に増えており、肝鬱(ストレスを強く受けている状態)

の方は特に注意が必要で、結膜炎まで至るケースが少なくない

鍼灸で十分対応できるので、薬だけに頼らずに試してほしい

超旋刺

非常に細い鍼(1番~01番)を用いて

経穴に切皮し(一mm程度)左回転で

一分間に数百回の高速回旋するという治療を

”超旋刺”という

愛知県鍼灸専門師会の研修会で理論と実技の講演があり

最近試験的に臨床に取り入れている

診断の基本は中医学での弁証は勿論、

そこに”空間診”による少数鍼の成果はすでに報告した通り素晴らしい

しかし、最後にとりきれない軽度の痛みが残る場合に

”超旋刺”を補助的に使うと、上手くいくことを経験してきた

追試を重ねているが、非常に軽微な刺激なので患者さんの体の負担はなく

北辰会方式を逸脱するものでもないので、

あくまで補助的な処置としてではあるが

確かに有効な手技で、さらに発展する可能性がある