頚肩こりの弁証

頚肩こりは初診患者さんの30%に見られるありふれた症状

しかし、原因は多岐にわたるので

きちんと治すためには東洋医学的弁証論治が必要だ

【西洋医学による原因】

1・姿勢の不良

2・頚椎の異常(変形・アライメントの異常)

3・頚椎椎間板ヘルニア

4・肩関節疾患に随伴するもの

5・顎関節症やかみ合わせの不良・歯列の乱れによるもの

【東洋医学による原因】

1・気滞(気の滞り)

2・お血(血の滞り)

3・肝陽上亢(陽気の亢進)

4・肝鬱化火(怒り等の感情の高ぶること)

5・肝火上炎(気が強く上に突き上げ熱化すること)

6・腎陰虚による陰虚陽亢(顔のほてり等も伴う)

7・血虚(血の不足)

8・気血両虚(気と血の不足)

9・湿痰(水の停滞)

10・空間論による気の偏在

ざっと挙げるだけでこれだけ分類されるので

初診時には肩こりと言えども詳細な問診が必要不可欠だ

筋の緊張を緩める治療でもある程度良くなるが

慢性疾患を根治するためには弁証が絶対必要である

また、随伴症を伴って肩こりがある場合には

一般的な局所治療だけでは、鍼の数が増えていくだけで

医療とはいえなくなる

たかが肩こりであっても、医療として鍼灸治療を行うか否かで

技量の差が如実に出るのである

ただの”慰安ハリ”でなく、あくまで”医療”として

治療を考えているかが大切だ

大寒とフキノトウ

今日は二四節気の”大寒”

一年で最も寒い時期

日本の南を次々と前線が通過してこの地方は冷たい雨になったが

内陸部では雪が降り続いている

冬至を過ぎてからは風が弱く天気の良い日は

太陽の陽気が高まっていることを実感する

気温は低くても日中は暖かさを感じる

季節は確かに春に向かっている

フキノトウが芽吹くのもこの季節

フキノトウの苦味は降気作用を持っている

つまり、老廃物を降ろして、下から排泄する作用がある

冬眠から覚めたクマが真っ先に食べるのがフキノトウと言われている

これは、冬眠中に溜まった便を排泄する効能があるからである

立春に向けて陽気が高まっていくこれからの季節には最適な食材だ

股関節痛に対する空間的処置

60代♂

30年目から左股関節痛で胡坐をかけない

左パトリックテスト陽性

気滞とお血所見以外の臓腑の失調は認められないので

空間弁証をする

左(患側)帯脈に著明な緊張(邪)を認める

30mm3番鍼を左帯脈に横刺で10分間置鍼する

直後に左パトリックテストは(-)

驚くことに即座に胡坐をかけるようになり

患者さんも大変驚き、喜ぶことしきり

他にも今日の外来患者さんで多数の症例を得た

臨床が面白くとても充実した一日だった

帯脈の臨床

昨日はスタッフ3人と大阪で北辰会の臨床コースの定例会があって参加した

午前は2時間体表観察の手技の復習

主に腹診・背候診のフェザータッチや

望診のトレーニングで診断基準を再確認した

東洋医学は検査数字に頼らない”匠の技の診察”なので

常に自分たちの診察法が標準的で正しいのかを確認する必要がある

触診の仕方も極めてソフトなフェザー(羽毛)で皮膚を撫でるような触れかたが基本だ

午後は藤本蓮風先生の臨床報告

空間論として”帯脈”を如何に臨床に使うかを解説され

筋委縮性側索硬化症の患者に帯脈穴を用いて著効を得た症例など

非常に面白く興奮する内容だった

体を地球に例えると

地軸は衝脈という体の中心を貫く経絡

帯脈は赤道にあたり体の上下を分かち

前後左右を繋げる重要な穴処である

ゆえに難病治療で縦の一二経絡で上手くいかない場合に

帯脈を上手く動かすと驚くような効果を示すことが示された

今日早速患者さんに使ったが、確かに面白く速効的な効果を得られた

空間論は現在、私の研究テーマなので

毎日の臨床現場で使いながら

さらに技術を高めることができると確信している

日本鍼灸師会

私が常任理事を務める(社)愛知県鍼灸専門師会は

(公益社団法人)日本鍼灸師会という全国組織の愛知県内唯一の承認団体である

日本鍼灸師会は鍼灸師の資質向上

保険取り扱いの円滑な運営のための厚労省との折衝

各種勉強会の開催

鍼灸師の責任賠償保険など福利厚生の活動など

活動は多岐にわたり

現在数万人と言われる鍼灸師のためになくてはならない存在

しかし、会員は8,000人程度と組織率は極めて低い

医師会に例えると

愛知県鍼灸専門師会が愛知県医師会

日本鍼灸師会が日本医師会といったら解り易いか

国民皆保険のわが国では保険医は必ず所属する団体である

一方日本鍼灸師会に対する鍼灸師の理解は一部で

年会費12,000円という安い会費にも拘らず

”入会のメリット”を求め、入会を渋る鍼灸師が多い

保険治療をしている鍼灸師がすべてではないという事情があるにせよ

開業鍼灸師が日本鍼灸師会を支えていかねば

鍼灸師の将来は非常に不安定で見通不透明になる

一匹狼の開業鍼灸師が一人でも多く所属し会員を増やすことが

厚労省への発言力を高める事に繋がることを理解してほしい

妊娠しました!

不妊症の症例

28才♀

婦人科で排卵誘発剤を内服、人工授精2回するが

結婚後3年間一度も妊娠せず

夫は検査で異常認めず

四診合参により”腎虚””気滞血お”と弁証

補腎と疏肝利気、駆お血の処置を始め11回目

2カ月後に産婦人科で妊娠5週目と言われ治療終了する

不妊治療は御夫婦での受診が理想的

西洋医学の検査で異常が認められなくても

男性のアンバランスを整える治療を平行することが

早期妊娠に繋がることを多く経験している

Hさん妊娠おめでとうございます!

出産予定日まで養生してくださいね

今年の花粉症対策

今朝の中日新聞「健康と医療」のページに

早くも花粉症の記事が掲載された

環境省によると今年の東日本の飛散量は

大量だった昨年と比べ20~40%と

大きく減少するという予測

しかし油断は禁物

東洋医学による花粉症の原因、分類、治療、効果については

このブログの「花粉症」を見ていただくと

詳しく解説してあるので参考にしていただき

今から花粉症対策をしていただきたい

薬効たっぷりの春の七草

七草がゆに用いられる野草には、

無病息災を願う人々の思いがかなうような薬効がたっぷり含まれている

せりは数少ない日本原産の緑黄色野菜で、セリ科の多年草

精気を養い血脈を整え、保温効果や高血圧予防に優れている

なずなは別名ぺんぺん草と呼ばれるアブラナ科の二年草

カルシウムやカロテンが豊富で風邪の予防に優れている

ごぎょうは母子草(ははこぐさ)の別名でキク科の二年草

咳・痰に効果がある

はこべらははこべのことでナデシコ科の二年草

昔から腹痛薬とされ、産後の浄血に用いられる

ほとけのざはキク科の二年草

整腸作用がある

すずなはかぶのことでアブラナ科の一・二年草

葉はカロテンやビタミンCの多い緑黄色野菜

腹痛薬としても使われる

すずしろは大根のことでアブラナ科の一・二年草

風邪予防や美肌効果に優れている

新年の7日に野草でつくったおかゆを食べる

野に自生し、新しい年に芽吹く若菜を食べることは

野菜不足を補うと同時にお正月のごちそうで疲れた胃腸を休めるのに最適

七草はいずれも秋に発芽し、ちょうどお正月頃に若菜になる身近な野草

胃腸を整え、体を温め、粘膜を強化する効能にも優れているのが共通した特徴である

小寒

今日は二四節気の”小寒”

陰暦で12月の節で、この日から寒に入り

寒さも本格的になる日である

小寒から節分までを”寒の内”という

正に寒さ本番を感じさせる低温が続いている

二四節気の内小寒から大寒(一月21日)は

現在の日本の気候とも一致している

≪黄帝内経・素問≫

四気彫神大論篇 第二

第一章 第四節

寒邪に犯されて病まないように

寒さを避けて衣服室内を暖かくする

激しい運動などをして汗をかき

陽気が抜け出すようなことをしてはならない

と古典に記述がある通り、冬の養生を心がけたい

メニエル病

メニエル病(メヌエル氏病・メニエール病等の呼称がある)

西洋医学的には

内耳の内リンパ水腫が病態である

内耳には音を聞く蝸牛と体の平衡に関係する前庭半規管がある

蝸牛はかたつむりのように管が渦巻いた構造をしており

その中にリンパ液が入っている

このリンパ液が増えた状態を、内リンパ水腫(水ぶくれの状態)といい

それが前庭半規管にも影響してめまいが起こるのがメニエル病

内リンパ水腫の原因は西洋医学では良くわかっていない

再発を繰り消すことが多いが発症の予測も西洋医学では不可能

東洋医学では

発作の起きた急性期には自宅で安静にしていると

ほとんどは数時間で酷いめまいや嘔吐は治まるので

症状が落ち着いてからの来院がお勧めです

中医学による眩暈の分類は以下の通りです。

実証 肝陽化風(ストレスや怒りによって発症しやすい)
   
   痰濁中阻(飲食の不摂生が原因となることが多い)

虚症 陰虚陽亢(陰虚による虚熱が上亢しておきる)
   
   中気不足(胃腸の虚弱の体質や過労が原因)
   
   心脾両虚(過度の過労や出血のために心脾が虚損して上部の栄養障害によっておきる)
   
   腎精不足(老化による腎気の虚弱で髄が満たされないために発症)

メニエル病でもこれだけの分類をし治療法(経穴や刺激量(補瀉))も

証によって変わり、養生法もそれぞれ個別にアドバイスするとことが

原因不明の西洋医学との大きな違いです

年末のこの時期は食べ過ぎ飲みすぎと、多忙によるストレスに注意することです