舌診その5

膩苔(じたい)の典型例

舌苔について

舌に生じる苔については、苔の厚さ、湿潤度、色調を診る

健康なヒトの舌は、色は淡紅色でごく薄い白苔がうっすらと覆っていて

形状も大きくも小さくもなく薄くも厚くもなく、舌裏も鮮やかな薄い紅色

健康な小児の舌が見本となる

舌苔でベタベタした湿った厚い苔は膩苔(じたい)といい湿邪が停滞した状態

色が白ければ「寒湿」、色が黄色ければ「湿熱」の鑑別ができる

水をたくさん飲みすぎた結果生じる場合もある

水分摂取の目安は、苔の状態を毎日自ら鏡で見ているとよくわかる

脾胃の機能が低下した結果生じたり、脂っこい食べ物を過食して生じることも多い

舌診その4

舌診その4

写真はお血の典型例

舌裏(舌腹)の診方

舌苔が厚く舌体の色調が見えない場合

舌裏の色調を診ることで寒熱の判断ができる

また舌裏の静脈(舌下静脈)の状態を診ることで

お血(血液の停滞)血虚(血が不足)の鑑別ができる

お血がきつい場合には舌裏全体、あるいは部分的にお班という

皮下出血のような出血痕が見られることもある

舌下静脈が太くはっきりしているが

白抜けしている場合は血虚お血という

舌裏の状態は特に循環器疾患に罹患するリスクの判断や

すでに罹患している場合治療経過の指標として非常に重要である

舌診その3

舌診その3

舌が腫れぼったく、ぼた餅のように口の幅いっぱいになるときがある

これを胖大(はんどん)舌という

水が停滞し舌体を満たすために生じる

”脾虚”(消化吸収の機能が低下)によって水分代謝が低下することが多い

舌の両側に“歯痕”という歯の痕が生じることもある

このうえに舌の苔がテカテカ光って潤いすぎる場合には”陽虚”といい

身体に停滞した水によって体の冷えがきつくなることが判る

このように舌の形態によっても様々な情報が得られるのである

http://n-acp.com

舌診その2

舌診その2

例えば風邪をひいて喉が痛い時には

多くは舌の先(舌尖)が赤くなる

身体の上焦に熱が存在することを表す

高熱になると舌尖がイチゴ状の赤い斑点が現われる

アトピー性皮膚炎で顔に赤い湿疹がある場合にも

舌尖が赤くなる

治療によって舌尖の赤みが薄くなってきたら

鍼の効果が確認できる

様々な病気の予後の推察ができるのである

続きはまた明日に

舌診についてその1

舌診についてその1

当院では治療の前に毎回”舌診”をする

舌で何が判るか?

舌の表側(舌背)で色調を診る

赤みが強ければ”熱”傾向

赤みが薄ければ”寒”或いは”血虚”傾向

舌の苔の状態も重要

苔が多く湿っていれば”湿邪”の停滞

苔が乾燥していれば”熱”を表す

苔の色では白ければ”寒”

色が薄黄色から濃くなるに従って”熱”傾向

要するに一言でいえば身体が冷えているのか

熱傾向なのかが一目で鑑別できる

”寒・熱”の鑑別として最も重要かつ正確に判定できるのである

続きは次回に

画像診断と東洋医学

画像診断と東洋医学

脊髄の椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の患者さんはとても多い

MRI検査を依頼して画像で確認することも必要である

椎間板ヘルニアは鍼灸治療が奏功することはブログですでに述べた

MRI検査で椎間板の脱出が確認され「椎間板ヘルニア」と診断されても

鍼治療で痛みやしびれが消失した例も数多い

そこで、再度MRI検査を受けても、画像による変化が全くない場合がある

これは何を意味するのか

ヒトが痛みを自覚するのは、ある一定の閾値を超えたときである

鍼治療で気血の巡りを整えると、痛みの閾値が上がって痛みを感じなくなる

逆にMRI検査で異常がほとんど認められないにもかかわらず

腰の痛みや下肢の痺れを訴える患者さんも多い

痛みの閾値が下がっていると痛みに敏感になるケースである

これにはストレスがおおいに関わっている

ストレスフルになると痛みやしびれに過敏になる

ここでもココロの治療が必要になる

痛みやしびれからココロが執着しなくなれば病は癒える

高血圧症

京都のとある寺

高血圧症

10数年前から本態性高血圧症の60代♂

降圧剤を内服しても血圧が下がらない

初診時には血圧200/90

肝鬱気滞に腎虚と診たてた

左太衝・左腎兪に鍼を置く

1週間後の治療後は

血圧168/96にに下がってきた

一ヶ月に10回の治療をした結果

血圧は138/84と安定

五臓の肝・腎のバランスを整えたことで

血圧を下げることができたと考える

そのほかにも多くの症例がある

降圧剤が不要になり

乱高下する血圧が安定する

高血圧の治療は鍼灸治療が非常に有効であることを

多くの方に知っていただきたい

信仰するということ

アラユル宗教・宗派において

熱心に信仰することは

病気になった時に強い味方になる

病気と対峙し

自分と対峙し

考え、思いをめぐらし

信仰する神・仏に教えを請う

気持ちが前向きでプラス思考になることで

生気が増し邪気を払うことができる

治療家と患者さんの信頼関係も築きやすい

アラユル病を治す力に信頼関係は最も重要

慢性の疾患ではときに鍼治療の効果を倍増させる

治療家の真摯な姿勢に

患者さんのココロが解れる

これが自然治癒力をひきだすのである

ストレスと舌診

ストレスと舌診

様々なストレスによって”気滞”が生じ

長引くと”気逆””肝陽上亢””肝火上炎”という

所謂「気が上に昇る」状態になる

ゆえに舌の尖が赤みをおびる

きつくなると、”紅刺”といいイチゴ状の赤い斑点が見られる

この写真はその典型的な舌で、全体の色調は紅色

舌尖はさらに紅色がきつく

舌尖全体に紅刺が見られる

ストレスフルの患者さんの舌である

治療による舌の変化は後日報告する

小児の風邪

龍安寺 筆者撮影

小児の風邪

中学生の♀

38℃~39℃の発熱2日

37℃の微熱が2日

内科で風邪の診断、4日間内服治療

身体のだるさ頭重、痰、咳続く

風熱表証と診たて

右合谷7分置鍼

少商に刺絡

薬は中止

7時間後電話にて確認

平熱に下がり、だるさも取れ、スッキりしたとのこと

少々の風邪で抗生剤や、総合感冒薬を内服すると

熱は下がるが、生気を弱らせ、熱をこもらせる

清熱の処置で生気を補うと、自然治癒力が治してくれる