日本不妊カウンセリング学会

【日本不妊カウンセリング学会参加報告】
10月10日11日と東京で日本不妊カウンセリング学会が開催され、参加してきました。
ARTなどの不妊治療を受けているご夫婦の、治療に関する不安や悩みは多彩で、中には心のケアが必要な場合が多々あります。
西洋医学での不妊治療についての知識を深め、それを当院で行っている中医学による不妊治療に生かし、一人でも多くの不妊にお悩みのカップルのお役に立ちたいと考えております。

今回の2日間にわたる研究発表の中で特に興味深かったのは「日本中医薬研究会」の陳志清先生からの報告でした。

不妊治療に最も大切なことなんですが、ご夫婦お二人の心身の健康状態がバランンスがとれていないと、正常な月経周期や基礎体温の二層性の維持、子宮内膜の状態が保たれず、元気で良い卵子の採取などができないからです。

中医学では不妊症の原因(女性側)を「血虚」「お血」「腎虚」「気滞」などに分類し、漢方薬や、鍼灸治療で取りくんでおります。
ARTなどで1年以上経過してもお子さんが授からない場合で、生殖器機能には特に異常が認められなければ、鍼灸治療が奏功する可能性が高くなります。

まず、気血の循環を整え、冷えを改善し、ストレスから解放することが不妊治療では最も大切なことなんです。

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不妊症

【不妊症の鍼灸治療】

症例①
女性30才
結婚後4年間子供ができない。小学6年で初潮以後月経不順。
結婚後より月経は30日~45日間隔に変化。
産婦人科に通院して、排卵誘発剤の注射を毎月受けて体調悪化する。
排卵誘発剤の注射を中止して、鍼灸治療を始める。
「肝腎陰虚証」と診たてて、6週間で12回の治療をして妊娠を確認。
ほぼ予定日に女の赤ちゃんを普通分娩にて出産する。

症例②
女性32才
28才で第2子を出産後より、右の卵巣が腫れ、チョコレート嚢腫発症。
月経痛(+++)ホルモン注射を受けている。
「脾陽虚症」「血虚òU血」と診たて、鍼灸治療を始める。
途中卵巣の摘出Ope、2年間の鍼灸治療の結果第3子の妊娠を確認。

症例③
女性35才
結婚3年目で妊娠しない。
月経は28日周期で基礎体温は二相性で正常。
生理血塊あり、経血色は暗紅色、舌裏òU斑認める。
人工授精3回、体外受精6回受けながら妊娠しない。
「気滞血òU」と診たてて、活血理気の鍼灸治療を開始。
3年6ヶ月経過して妊娠確認。
子宮筋腫が認められたために、帝王切開にて出産。

症例④
女性37才
結婚7年目
2年前から体外受精2回、子宮内膜の状態が良くなく着床しないといわれる。
鍼灸治療は2年前から月に2回「補腎」「理気」の目的で通院。
7月中旬に婦人科受診、子宮内膜の状態が改善が確認できて体外受精実施、
8月29日妊娠7週目を確認。
鍼灸治療を続けることによって子宮内膜の状態が改善し、妊娠に至ったと
喜ばれる。

スポーツ傷害

【サッカー選手の肉離れ】
今日午後の診療が終わった頃に、玄関前で困った様子の親子連れが見えたので、
様子を伺ったら、息子さんがサッカーで足を痛めたので診てほしいとのこと、
急遽問診、診察を開始し、「右腓腹筋の肉離れ」と診断、01番というもっとも細い
鍼を用い、応急処置をしました。治療直後に、痛かったふくらはぎは痛みが軽くなり、
即効性の治療効果に驚き、とても喜ばれました。
中学サッカー部のレギュラーで試合が続いているとのことですが、3、4日は練習を
休むようにアドバイスをして終わりました。
4日後に再来院され、ほとんど痛みがないので2回の治療で治癒としました。

「骨折」以外のあらゆるスポーツ障害に鍼治療は即効性があり、急性期に早めに来て頂
ければ、治療効果も高まります。
様々なスポーツ特有の障害があって、スポーツ傷害はとても奥深いものがあります。

当院では、(社)愛知県鍼灸師会主催の「スポーツ傷害研修」を履修した院長はじめ、
常に院内勉強会でスポーツ傷害の勉強会も開催し、スキルアップに努めています。
これまでに、クラシックバレエ、バレーボール、バスケットボール、陸上競技、野球、
サッカー、少林寺拳法、剣道、ドッジボール、水泳、ゴルフ、テニス、バトミントン、
等々プロからアマチュア、学生にいたる膨大な治療実績があります。
スポーツ傷害でお困りの際はどんなことでもお気軽に御相談ください。

円形脱毛症

【円形脱毛症の症例】

患 者:12才女子
主 訴:前頭部の円形脱毛
現病歴:昨年秋ごろから徐々に脱毛が進み、12月には1円玉大の円形脱毛に進行する。
    中学受験を控え、睡眠不足や、精神的なストレスが認められる。
脈 診:浮緊細数
舌 診;暗紅薄白苔、舌尖紅刺、舌裏紅
腹 診:心窩、胃土に緊張
弁 証:肝欝化火
処 置:20mm01番で、左太衝に置鍼10分、脱毛部に十字鍼
経 過:第4診目からうぶ毛の発毛が見られる。
    第12診目頃から全体に発毛が太く長くなる。
    第16診目でほぼ全体に発毛して、境界線も不明、治癒としました。
    心配されていたお母様からは感謝のお手紙を頂きましたので、HPの
    「患者様の声」に掲載させていただきました。
考 察:円形脱毛症は東洋医学では、皮膚科の病気ではなく、心身のアンバランスから
    発症すると考えます。
    鍼治療は、気血の巡りを良くして発毛を促します。
    小児も大人も、ほぼ100%治癒します。

    

1本鍼で著効を得た症例No.6

【百会右の一本の鍼で治癒した急性腰痛】

症例:57才男性
主訴:急性腰痛(ギックリ腰)
現病歴:昨日1日寝ていてから徐々に腰が痛くなる。
腰部の前屈(++)後屈(++)
脈 診:滑弦
舌診察:白膩苔・舌裏紅
腹 診:心窩虚・
弁 証:肝欝気滞による卒腰痛
処 置:10mm3号のステンレス鍼で百会右に10分置鍼。
治療効果:直後に腰の運動痛、自発痛は消失。
考 察:百会右の鍼治療によって”肝欝”による気滞がとれた。
百会は気滞を改善する代表的な経穴で、左右の反応の差をみて処置を
したことが良い結果を得たと考えます。

癌と鍼灸

【癌と鍼灸】
 6月13日14日に埼玉県のさいたま市で(社)全日本鍼灸学会学術大会が開催され、
スタッフ4人で参加してきました。
毎年開催される鍼灸の臨床研究、基礎研究、の発表や、様々なパネルディスカッションなどが分科会形式で、同時進行して複数の会場で聴講ができます。
今年の一番の収穫は「癌と鍼灸」がテーマのパネルディスカッションが最もインパクトがあり、大変勉強になりました。

 総括すると、癌医療の現場では、「抗がん剤」「放射線」は副作用が強くかえって免疫力を低下させて、癌の再発率を上げている、という認識を持つ医師が少しずつではありますが増えてきているようです。
 米国では米国癌学会で抗がん剤は”向癌剤””増癌剤”ともいわれ、癌学会会長が下院議会で抗がん剤や放射線は癌に対しての治療効果はない!・・とはっきり報告したそうです。
そういった、情報をよく研究されている医師の一部で、新潟大学医学部教授の安保徹先生が提唱する「免疫療法」といい、白血球のなかのリンパ球を活性化する治療をすることで、癌細胞を不活性化して、転移や再発率を防いで治療成績をあげている、といった報告が複数なされました。

 「免疫療法」の中心は実は「鍼灸治療」なのです。がん治療の最前線の医師が鍼灸治療を第�選択に取り入れているのです。それも抗がん剤や放射線を使わずに・・・
鍼灸治療をすると腫瘍マーカーの数値が下がり、活性化したリンパ球の数が増えてていくのです。そして、玄米食などの食事療法や、精神的なケアを十分にすることによって、驚くような成績を上げているのです。
もはや、癌は鍼灸の適応疾患であるといっても過言ではない、とういのが今回のパネルディスカッションの結論でした。(第�選択で外科的な摘出が優先ですが)少なくとも、抗がん剤や、放射線を使い始める前から治療を始めると効果的なのです。

 当院でも癌患者への治療を数多くしていますが、疼痛緩和や、再発がなくなることを実感しています。そして最も重要なことは臨床家と患者の強力な信頼関係です。今後も体に負担のかかり、免疫力を低下させる抗がん剤や、放射線に頼らない、自然治癒力を増進させる目的で鍼灸治療を求める患者さんは増えていくと思われます。

 当院でおこなっている少数鍼治療や、刺絡(指先から少量の血液を出す治療)によって
少しでもがん患者さんへの疼痛緩和、QOLの改善、再発予防に貢献できればと強く思い、
日々勉強、研究、臨床に真っ正面から向かっていきたいと考えます。

下血が止まった潰瘍性大腸炎の1症例

【下血が止まった潰瘍性大腸炎の1症例】

患 者:68才女性
主 訴:潰瘍性大腸炎による下血
現病歴:10年前、義父の死去、娘の出産、家の新築等々で過労が続き、粘液を伴った下血、下痢が始まり、病院で大腸内視鏡検査で「潰瘍性大腸炎」の診断。プレドニゾロン(ステロイド製剤)など数種類の薬を内服しても粘液を伴う下血は改善されなかった。
他の疼痛性疾患もあり当院受診し、昨年12月より潰瘍性大腸炎への治療を開始。

脈 診:中位で滑脈
舌 診:やや紅舌、黄膩苔(べとべとした苔の状態)
腹 診:全体に虚軟、胃土、両脾募に緊張を認める

弁 証:肝欝気滞、湿困脾土、により脾不統血(胃腸が弱って出血がとまらない状態)

処 置:20mm、3番のステンレス鍼で右後谿に10分置鍼。
左右の隠白に直灸5壮。

経 過:週に2~3回の治療を1ヶ月続けたころより、粘液を伴った下血、軟便がなくなり、最近はステロイド製剤を中止、整腸剤のみの内服。

考 察:後谿の鍼治療により、肝欝気滞が改善し、隠白のお灸によって脾胃の機能が改善し統血作用(出血を止める働き)が機能してきたと考えられます。
潰瘍性大腸炎は厚生労働省の難病指定疾患で、今回中医学による弁証論治をしたうえでの鍼灸治療によって有効性を示しましたが、現在も治療を継続中で経過観察したいと思います。

一回の治療で消失しためまいの一症例

【1回の治療で消失しためまいの一症例】

春先に多い”めまい”は鍼灸治療がよく効くんですが、メニエル氏病から生じた回転性のめまいがたった1回の1本鍼治療で治癒したので報告します。

患 者:79歳男性

主 訴:回転性のめまい

現病歴:2月21日朝起床時に突然地球が回る(本人談)ような激しいめまいが 始   まり嘔吐、下痢を繰り返す。23日にかかりつけの内顆を受診し、”メニエ  ル氏病”と診断され、点滴をし嘔吐、下痢は治まるが、寝起きや動作によっ  て回転性のめまいが残る。明日好きな釣りに行きたいとのことで来院。

脈 診:浮弦

舌 診:舌色紅、舌尖紅刺

腹 診:心窩発汗

弁 証:肝風内動

処 置:20㎜、3番鍼で百会に10分置鍼、関元に火曳の鍼を当てる。
    腹臥位で右肝兪に10分置鍼。
    治療後に脈が緩み寝起きのめまいも感じなくなる。

経 過:3日後の今日来院、治療翌日の朝から全くめまいを感じなくなり、釣りに    行きアマゴを20匹釣った、と喜んでいただく。

考 察:”啓蟄”が過ぎ、木気が盛んになるこの時期に畑仕事や睡眠不足などで、

疲労が蓄積し、”肝風内動”がおきて激しいめまい発作が生じたと考え,
百会や肝兪の鍼治療によって肝気の上逆が治まって治癒したと考えます。 

※激しい回転性のめまいで嘔吐を伴う”メニエル氏病”は、激しい発作が治まって、から鍼灸治療を始めるとと特に効果的です。また、定期的に治療をすることにより再発作の予防になります。
頭を動かすと、めまいを感じたり、なんとなく揺れるようにフワーとした症状が続く場合は”良性発作性頭位眩暈症”といい、西洋医学での有効な治療法がなく、鍼灸治療が非常によく効きます。

1本鍼により著効を得た症例No.5 足関節捻挫

【1本鍼により著効を得た症例No.5 足関節捻挫】

主 訴:左足関節捻挫

患 者:12歳男子

現病歴:昨年9月運動会の組体操で転倒して、足首を強打し足首の関節が腫れ(
    歩行困難になる。整形外科受診レントゲン検査で異常認めず。リハビリに    通院するが、好転せず、今年の1月末にMRI検査したが、異常を認めず
    接骨院の治療で少し改善するが、リトルリーグの野球や、学校の体育は
    5ヶ月間治療してもいまだに見学しているとのこと。

所 見:足関節内反(++)底屈(++)リスフラン関節に熱(++)
    圧痛(++)
    歩行時に左足に体重がかけられない。

脈 診:滑脈

舌 診:淡白、薄白苔、舌尖紅、舌下静脈怒張

弁 証:左胆経の気の偏り

処 置:10㎜1番鍼で百会右に置鍼10分

経 過:治療直後に痛みを感じなくなる。歩行正常。
    3日後に来院5ヶ月間続いた足首の痛みが1回の治療で半減、歩行痛は消    失。
    2診目終了後は全く痛みを感じないとのこと。

考 察:左胆経の経絡の流れが改善し炎症性の疼痛の緩和につながったと考える。
    慢性の痛みで西洋医学的な治療だけで改善しない場合にも、空間的な気の    偏りを?鵯本の鍼で簡単に消失せしめることができることが証明された。

1本鍼により著効を得た症例No.4 中指の腱損傷

【1本鍼により著効を得た症例4】

症 例:左中指MP関節の腱損傷

患 者:15歳女子(バスケットボール部ガード)

初 診:1月17日

現病歴:1月6日バスケの試合中に相手チームの選手と接触し左の中指を痛める。
    整形外科を受診し腱の断裂ではといわれる。低周波を当てていても変化
    がなく当院を受診。

脈 診:滑脈

舌 診:やや紅、舌尖紅刺

弁 証:気滞血お

処 置:”左げき門”に10㎜の01番鍼を10分置鍼

経 過:9日間に6回の治療で治癒
    一ヵ月後に少し痛みが残っていると再来院。

処 置:”百会左”に5分置鍼
    直後に指の痛み消失し、可動域も正常。

考 察:受傷した指に直接アプローチをせずに左右の気の偏りを整える目的で
    ”左げき門”や”百会左”に刺鍼することによって気血の巡りの偏りがなくな    り治癒したと考えます。