滑肉門

                          患者さん撮影

当院の内弟子が突然左の親指が痛いと言い出した

診たところ、なんら原因が不明で(本人曰く)突然左の母指のMP関節が腫れて、

痛みで動かせないようである

内弟子なので大方の病因は解っていた

腹診をすると左の滑肉門に邪を認め、左滑肉門に一本の鍼を打った、治療直後に痛みは緩和し

翌日には痛みも腫れも消失してしまった

本人は不思議がっていたが、症は「肝欝気滞」である

所謂ストレスによって経絡の気の滞りが発生したからであるが、

日々の臨床でストレスを受けているなら、一所懸命仕事をしている証拠

こんな急性症状には鍼は驚くほどの即効性がある

腰椎椎間板ヘルニア

                                患者さん撮影

先日腰椎椎間板ヘルニアによる腰の激痛、下肢痛で
歩行もままならない女性の患者さんが来院された

医師からはヘルニアは治らないといわれている

SLR(下肢伸展テスト)は患側10°(+++)と腰椎椎間板ヘルニアとしては非常に重症である
診たては「左下焦の気の停滞」とし、百会左に1本鍼をした、腰部へも軽く鍼とお灸も加えた

2回の治療でSLRは90°(-)となって3回の治療で痛みは消失した
1週間だけ、立ち仕事は休んでいただいたが、今は元気にお仕事をされている

東洋医学は痛みの疾患であっても、気の偏りを整えるだけで苦痛から開放することができる
ヘルニアは治らないといった医師の言葉は間違っているわけではない

MRIの画像診断ではヘルニアが消失したわけではない

これは椎間板ヘルニアの症例で、鍼治療前と治癒した後のMRI画像を確認したところ
脱出した椎間板(正確には髄核)にはほとんど変化がないにもかかわらず、
自覚症状は消失し、経過も良好である患者さんを多数経験しているからである

ということは、機質的(画像などで異常が認められる)な病変があっても発病
(痛みを自覚すること)の原因は東洋医学的には、別のところにあるということである

この患者さんは大きなストレスを抱え、仕事も休めない状況の中で無理をされていた
「肝欝気滞」が病因の大きな要素となっていたのである

円形脱毛症の症例

【円形脱毛症の症例】

患 者:39才女性OL

初 診:平成21年12月15日

現病歴:昨年11月に美容院で頭頂部の500円玉大の円形脱毛に気づく。
    社内でのトラブルが多く最近精神的に落ち込むことが多くなったとのこと。
    皮膚科などは受診していない。

脈 診:浮弦数

舌 診:紅、列紋、無苔

腹 診:心窩に虚

弁 証:肝腎陰虚症

処 置:脱毛部に40㎜1番のステンレス鍼で十字鍼、右照海に20㎜3番のステンレス鍼を10分置鍼。
    腹臥位で右腎兪に10分置鍼。梅花鍼を2~3分使用。
    以後、内関、天枢、膈兪などを使用。

経 過:第6診目頃から発毛が始まり、第11診目には脱毛部の全体に発毛が「見られるようになる。
    第15診目、初診から約3ヶ月で見分けが付かなくなり。治癒とする。

考 察:ストレスによって陰液を消耗し、髪を栄養できなくなって発病、
    補腎、疏肝理気の処置によって治癒したと考えます。
    円形脱毛は最近受診患者さまが多く、鍼治療で100%治癒します。
    再発をくり返す多発性の円形脱毛も、治癒しておりますので受診をお勧めします。

妊娠しました!

【妊娠しました!】

不妊症と不定愁訴の治療で通院中のKさん(41才)が結婚7年目で、

初めての妊娠が確認されました。

過去に人工授精2回、体外受精2回いずれも妊娠に至らず、

当院で鍼灸治療を始めて6ヶ月、週に一回の通院で体質改善ができた

結果、初めて人工授精で妊娠に至りました。

妊娠中も安産と健康管理のために通院されています。

東洋医学による弁証としては「肝欝気滞」でした。

Kさん、出産まで一緒にがんばりましょうね。

ハードル選手の腰痛

【難治性の腰痛と生理不順が一ヶ月の鍼灸治療で治癒した症例】

患 者:17才女性

主 訴:慢性腰痛

現病歴:小学校4年生でクラシックバレエをして腰痛発症、中学高校は陸上部に所属し、
    高校2年の8月に練習中に腰痛再発する。
    整形外科受診し、レントゲン、MRI検査で第4腰椎と第5腰椎の間隔が狭くなっている、
    と言われ、他の鍼灸院に通院したがあまり改善せず、1時間の授業中も痛みで苦痛を訴える。
    陸上部は休んでいる。
    月経は小6から始まるが、不順で2~3ヶ月ないときもある。
    

脈 診:中位で滑脈

舌 診:淡紅色、胖大、舌裏静脈の怒張

腹 診:右脾募、左肝の相火、左大巨に邪を認める

弁 証:湿困脾土・気滞血お

処 置:右三陰交に10分置鍼、腹臥位で左脾兪に10分置鍼

経 過:初診は’0911月25日、週に2回の治療を開始する
    第4診目で授業中の辛い腰痛が消失、第5診目から軽いジョギングができるようになり、
    第7診目以降からは1500m走っても腰痛は感じなくなり、月経も再開する。
    月経があってからさらに腰の状態もよくなり。
    3月のインターハイ予選に向けて練習を再開するようにアドバイスする。

考 察:飲食不摂により脾の機能低下によって月経が停止、お血が生じて腰痛が悪化したと考える。

局所の治療のみでは治らなかった腰痛、生理不順が1本の鍼治療で治癒した。

    弁証が正しくなされ、五臓の脾のバランスが整ったことが治癒にいたったと考えます。

    

異なる症状で、「血虚お血」となり「三陰交」を用いて改善した2症例

【異なる症状で、「血虚お血」となり「三陰交」を用いて改善した2症例】

主 訴:肩こり、頭痛
患 者:52歳女性
現病歴:27歳から肩こり疲れると腰も痛く、頭も痛くなる接骨院や鍼灸院を受診しても
    変化がない
脈 診:脈は細虚数
舌 診:舌はやや暗紅色、舌裏はやや静脈が怒張
腹 診:全体に緊張が強い。
弁 証:証は肝欝気滞、肝腎陰虚証
処 置:虚熱の上亢で肩こりがあると考えて、左照海や霊台を使って、治療後すぐに
    主訴が楽になり、咽が痛くなったり、風邪もひきやすかったのが、とても元気
    になり喜ばれました。しかしあるとき疲れと冷えで一時肩こりが元に戻ったの     で、弁証をしなおしました。
     舌裏の静脈が白く腫れるという、「血虚お血」の所見が見られたので照海を
    止めて「右三陰交」を使ってからさらに楽になり、舌下静脈の色も改善し経過
    良好です。局所治療は全くしていません。


主 訴:不整脈、胸苦しさ
患 者:77才女性
現病歴:10年前から健康管理で鍼灸治療を週に1回受診。1年前から時々動悸胸苦しさ
    を訴え、循環器科受診、左心室肥大、ECG検査して軽い心房細動による不整
    脈と診断、内服治療をするが変化がない。
脈 診:脈は沈虚
舌 診:舌色は淡白白薄苔、舌裏静脈はやや怒張、色は白抜けている。
腹 診:全体に虚軟、特に関元に虚が見られる。
弁 証:「血虚お血」と診たて、右三陰交、右膈兪に置鍼10分
経 過;以後心房細動による不整脈や胸苦しさから開放されとても喜ばれ、今も健康管理    でご夫婦で通院中です

考 察:「血虚お血」に対して「三陰交」は優れた治療効果を挙げることが、自覚症状
    の消失や、舌裏静脈や眼瞼結膜の色が著しく改善したことでも証明された。

解 説:「血虚お血」とは全体に血が足りなく(貧血とは違って中医学では”血虚”
    といいます)また、血が足りないために血流が滞ってできる汚れた古い血液
    を「お血」といいます。
    「血虚」「お血」ともに肩こり、頭痛、不整脈、悪化すると、脳梗塞や心筋
    梗塞につながりかねません。
    中医学ではどこを診るかというと「舌の裏側」の状態です。
    舌の裏の血管(舌下静脈)が腫れて、色がどす黒かったり、血の塊や、皮下出
    血などがみられると危険な状態であることがあります。
    鍼灸治療は、「血虚」「お血」ともに治療効果は著しく、命に関わる循環障害
    さえも予防できるのです。

鑱鍼(ざんしん)を用いたアトピー性皮膚炎の治療

【鑱鍼(ざんしん)を用いたアトピー性皮膚炎の治療】

アトピー性皮膚炎の治療は当院では鍼灸治療単独で治療効果を得ています。
ほとんどのアトピーの患者さんは「湿熱」という熱を内に篭もらせている場合が多く、
「清熱・解毒」の処置を鍼治療で加えると、ステロイドを用いなくても改善していきます。
また、最近は「鑱鍼(ざんしん)」という純銀製の古代鍼を使って、さらに皮膚の表層の熱を取ることができるようになりました。
この「鑱鍼(ざんしん)」の効果には目を見張るものがあって、カサカサした皮膚も潤ってきます。

日本不妊カウンセリング学会

【日本不妊カウンセリング学会参加報告】
10月10日11日と東京で日本不妊カウンセリング学会が開催され、参加してきました。
ARTなどの不妊治療を受けているご夫婦の、治療に関する不安や悩みは多彩で、中には心のケアが必要な場合が多々あります。
西洋医学での不妊治療についての知識を深め、それを当院で行っている中医学による不妊治療に生かし、一人でも多くの不妊にお悩みのカップルのお役に立ちたいと考えております。

今回の2日間にわたる研究発表の中で特に興味深かったのは「日本中医薬研究会」の陳志清先生からの報告でした。

不妊治療に最も大切なことなんですが、ご夫婦お二人の心身の健康状態がバランンスがとれていないと、正常な月経周期や基礎体温の二層性の維持、子宮内膜の状態が保たれず、元気で良い卵子の採取などができないからです。

中医学では不妊症の原因(女性側)を「血虚」「お血」「腎虚」「気滞」などに分類し、漢方薬や、鍼灸治療で取りくんでおります。
ARTなどで1年以上経過してもお子さんが授からない場合で、生殖器機能には特に異常が認められなければ、鍼灸治療が奏功する可能性が高くなります。

まず、気血の循環を整え、冷えを改善し、ストレスから解放することが不妊治療では最も大切なことなんです。

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不妊症

【不妊症の鍼灸治療】

症例①
女性30才
結婚後4年間子供ができない。小学6年で初潮以後月経不順。
結婚後より月経は30日~45日間隔に変化。
産婦人科に通院して、排卵誘発剤の注射を毎月受けて体調悪化する。
排卵誘発剤の注射を中止して、鍼灸治療を始める。
「肝腎陰虚証」と診たてて、6週間で12回の治療をして妊娠を確認。
ほぼ予定日に女の赤ちゃんを普通分娩にて出産する。

症例②
女性32才
28才で第2子を出産後より、右の卵巣が腫れ、チョコレート嚢腫発症。
月経痛(+++)ホルモン注射を受けている。
「脾陽虚症」「血虚òU血」と診たて、鍼灸治療を始める。
途中卵巣の摘出Ope、2年間の鍼灸治療の結果第3子の妊娠を確認。

症例③
女性35才
結婚3年目で妊娠しない。
月経は28日周期で基礎体温は二相性で正常。
生理血塊あり、経血色は暗紅色、舌裏òU斑認める。
人工授精3回、体外受精6回受けながら妊娠しない。
「気滞血òU」と診たてて、活血理気の鍼灸治療を開始。
3年6ヶ月経過して妊娠確認。
子宮筋腫が認められたために、帝王切開にて出産。

症例④
女性37才
結婚7年目
2年前から体外受精2回、子宮内膜の状態が良くなく着床しないといわれる。
鍼灸治療は2年前から月に2回「補腎」「理気」の目的で通院。
7月中旬に婦人科受診、子宮内膜の状態が改善が確認できて体外受精実施、
8月29日妊娠7週目を確認。
鍼灸治療を続けることによって子宮内膜の状態が改善し、妊娠に至ったと
喜ばれる。

スポーツ傷害

【サッカー選手の肉離れ】
今日午後の診療が終わった頃に、玄関前で困った様子の親子連れが見えたので、
様子を伺ったら、息子さんがサッカーで足を痛めたので診てほしいとのこと、
急遽問診、診察を開始し、「右腓腹筋の肉離れ」と診断、01番というもっとも細い
鍼を用い、応急処置をしました。治療直後に、痛かったふくらはぎは痛みが軽くなり、
即効性の治療効果に驚き、とても喜ばれました。
中学サッカー部のレギュラーで試合が続いているとのことですが、3、4日は練習を
休むようにアドバイスをして終わりました。
4日後に再来院され、ほとんど痛みがないので2回の治療で治癒としました。

「骨折」以外のあらゆるスポーツ障害に鍼治療は即効性があり、急性期に早めに来て頂
ければ、治療効果も高まります。
様々なスポーツ特有の障害があって、スポーツ傷害はとても奥深いものがあります。

当院では、(社)愛知県鍼灸師会主催の「スポーツ傷害研修」を履修した院長はじめ、
常に院内勉強会でスポーツ傷害の勉強会も開催し、スキルアップに努めています。
これまでに、クラシックバレエ、バレーボール、バスケットボール、陸上競技、野球、
サッカー、少林寺拳法、剣道、ドッジボール、水泳、ゴルフ、テニス、バトミントン、
等々プロからアマチュア、学生にいたる膨大な治療実績があります。
スポーツ傷害でお困りの際はどんなことでもお気軽に御相談ください。