帯状疱疹後神経痛について

帯状疱疹は、ヘルペスウイルスのなかの水疱帯状疱疹ウイルス(VZV)が原因で起こる感染症です。

小児期の水ぼうそうは、このVZVに感染することで起こります。

その後、ウイルスは神経節に潜伏します。

免疫力の低下により、潜伏していたウイルスが再び暴れだすと、

その神経が支配している皮膚(デルマトーム)に帯状疱疹が出現します。

帯状疱疹になりやすい人は、高齢者(50歳以上)、ステロイドなどの免疫抑制剤を服用中、

ストレス、悪性腫瘍などで免疫力が低下している場合です。

症状は、皮膚の発赤、水ぶくれ、びらんなど皮膚の炎症が起こります。

皮膚症状は約2週間程度で落ち着き、後にかさぶたとなり治癒します。

しかし中には皮膚症状が治まった後に、神経痛が出現することがあります。

これを「帯状疱疹後神経痛」といいます。

つづく・・・

明日から穀雨

二十四節気では、明日から穀雨です。

穀雨は、「田畑の準備が整い、それに合わせて降る雨」という意味があります。

穀雨が終わると立夏のなり、暦の上では夏が始まります。

今日は移動性高気圧に覆われ快晴となりましたが、

気圧の谷から湿った空気が流れ込み、夜間から早朝にかけては冷え込みます。

移動性高気圧通過中は気温が急上昇するので、気逆(のぼせ)や

内熱(熱っぽい)傾向のある方は注意です。

カフェインや香辛料を控え、穏やかにすごすといいでしょう。

夜間から早朝にかけては冷え込むので、半身浴などで下半身を温め、寝冷えに注意しましょう。

なんだか気象予報っぽくなりましたが、しっかり養生しましょうね!笑

変形性膝関節症(初期)の症例

初期の変形性膝関節症の症例です。

50代女性

主訴:左膝痛、正座ができない

1ヶ月前から膝関節の腫れと痛みを自覚。

水が溜まってきたので、整形外科でレントゲン撮るも、異常なしと診断。

リハビリのみで、特に治療もなく経過が変わらないので、当院受診。

現症:膝に軽度熱感あり、関節水腫はなし。左膝関節は軽度内反・屈曲変形

靭帯、半月板に異常なし。レントゲン画像では、左膝内側の軟骨が10~20%程度すり減っていいる。

東洋医学的な病態:肝経病証

西洋医学的な病態:変形性膝関節症(K-L分類 GradeⅡ)

治療方針としては、肝経の気血の流れを良くする、

アライメントの調節、ストレッチ、パテラセッティングを指導。

約1ヶ月で疼痛はほぼ消失、2ヶ月目には正座も可能になる。

現在では、水も全くたまらず日常生活が問題なく送れています。

膝関節痛は初期であれば、鍼灸治療と運動療法の併用で十分効果が期待できます。

高度に変形している場合や、関節水腫が強い場合、半月板・靭帯に問題がある場合は

西洋医学的治療と併用することが望ましいでしょう。

膝の水を抜くと癖になる?

「膝の水を抜くと癖になる」というのを聞いたことはありませんか?

これは本当でしょうか?

まず、「膝に水が貯まる」という現象についてですが、

膝関節は、「関節包」という袋状の膜に包まれています。

関節包は膝の動きをなめらかにするために、関節液を分泌しています。

この関節液が「関節包(滑膜)の炎症」により、過剰に分泌して関節内溜まっている状態を

「膝に水が溜まる」といいます。

膝の水を抜くと癖になるのは、関節包(滑膜)の炎症がある以上、

抜いてもどんどん溜まってきてしまうということです。

鍼灸治療は、滑膜の炎症を抑える効果があるため、水が溜まってくるのを防いでくれます。

治療によりアライメントが調節されることで軟骨への負担が軽減し、炎症を起こりにくくします。

当然、運動療法(パテラセッティング)も水が貯まるのを防ぐ方法のひとつです。

つづく・・・

膝痛(膝関節痛)にお悩みの方へ その2

変形性膝関節症の治療は、保存療法が第一選択となります。

運動療法は、筋力トレーニング、有酸素運動、ストレッチなどが有効です。

筋力トレーニングで鍛える筋肉は大腿四頭筋です。

大腿四頭筋を鍛える運動として「パテラセッティング」があります。

「パテラセッティング」は関節に負荷をかけることなく、効率よく大腿四頭筋を鍛えることができます。

1.膝の下にタオルを丸めて入れる

2.仰向けで横になる

3.つま先を上に向けた状態で、膝の裏でタオルを押しつぶす

この時に、大腿四頭筋をしっかりと意識して収縮させることが重要です。

20回 1セットを2回/日行いましょう。

筋力トレーニングは、関節負荷を軽減するだけでなく、軟骨細胞の炎症を抑える効果もあります。

膝関節に痛みを抱える患者様には、必ずお伝えしているトレーニングです。

是非ご自宅で試してみましょう。

名大統合ヘルスケアチーム RTDに初参加

昨日は、名古屋大学医学部附属病院で開催された、

第32回統合ヘルスケアチームのラウンドテーブルディスカッションに初参加しました。

統合ヘルスケアチームは、多職種で構成される医療チームです。
https://blogs.yahoo.co.jp/n_harikyu/72705358.html

様々な問題を抱える患者を、各視点からディスカッションして、

最善の治療を模索するのがラウンドテーブルディスカッション(RTD)です。

今回は、コーディネーターを務める総合診療科の伊藤先生からご招待いただき、

RTDに初参加させていただきました。

初参加にあたり、チームの皆様に自己紹介とこれまでの研究分野についてお話をさせていただきました。

総勢21名の先生の前での自己紹介は本当に緊張しました^^;

症例検討では、慢性疼痛や神経症など、複雑な心理社会的背景を抱えている患者を

ディスカッションしました。

特に、臨床心理士の面接内容とアセスメント能力には本当に驚きました。

患者から出てくる言葉のひとつひとつを拾い上げて、的確に心理状態を考察する能力は

我々も学ぶところが多いと感じました。

懇親会では、学生の飲み会のような大盛り上がりとなりました(笑)

次回は、3ヶ月後。

いろいろと情報収集をして望みたいと思います。

膝痛(膝関節痛)にお悩みの方へ

膝関節痛は、50代以降の女性に多く発症しますが、

その多くは「変形性膝関節症」が原因と言われています。

初期の変形性膝関節症の多くは、レントゲンで異常が認められません。

膝が痛くて整形外科に行ったけど、画像上問題ないですと言われたことはありませんか?

初期の場合、骨の異常はほとんどなく、病変の主体は関節軟骨の“変性”や“すり減り”です。

ではなぜ、関節軟骨が変性したり、すり減ったりするのでしょうか。

原因は・・・

1.加齢により軟骨の働きが低下する

2.肥満あるいは、下肢の筋力低下により関節にかかる負荷が増大する

3.下肢のアライメント(関節、筋、骨の位置関係)の歪み

などがあります。

膝関節痛で重要なのは、軟骨のすり減りや、変性の進行をできるだけ遅らせることです。

つづく・・・

ヒノキ花粉に注意

2月ごろから始まるスギ花粉は、4月下旬になると一度落ち着きます。

東海地方では4月初旬からは、ヒノキ花粉の飛散が増加してきます。

花粉の飛散に比例して症状も増悪するので、3月の終わりには少し落ち着いていだが、

4月から症状が再燃する方は多いでしょう。

花粉症対策に関しては、以前ブログでご紹介しました。

「日常での予防法」
https://blogs.yahoo.co.jp/n_harikyu/72746205.html
「花粉症と東洋医学」
https://blogs.yahoo.co.jp/n_harikyu/72750263.html

当院では、原因となっている根本的な体質改善を目指す少数穴に加えて、耳鍼、養生指導などを

取り入れております、引き続き症状にお悩みの方は一度ご相談ください。

アレルギー性皮膚炎奏効

【アレルギー性皮膚炎の症例】

29歳女性

主訴:顔全体の皮膚が赤くなり腫れ痛む

現症:2年前頃から突発的に顔が腫れて赤くなり皮膚の痒みと痛みがある

多い日は週に2~3日悪化する

B総合病院アレルギー科受診アレルギー性皮膚炎の診断

抗生剤、抗ヒスタミン剤の内服と外用抗菌剤、抗真菌剤の塗り薬を処方され

徐々に発症頻度は少なくなるも治癒に至らず

お母様のご紹介で来院、

随伴症状として先天性外斜視による目の疲れ頭痛、小便が出にい、花粉症等

弁証:肝鬱気滞、肝経湿熱

処置:ステンレス鍼30mm3番

右蠡溝右肝兪を中心に置針

月に1~2回の頻度で来院

経過:鍼治療以後写真ではお見せできない程の真っ赤なお顔の腫れはでなくなる

内服薬、塗り薬も中止、随伴症状も殆ど軽減する

考察:小便不利やアレルギー性皮膚炎、随伴症状も全て”肝経湿熱”に有効な

蠡溝が奏功したと考える

今年は結婚式も控えているのでとても喜ばれ、友人のアトピー性皮膚炎も経過は良好

自律神経失調症(軽度のうつ状態)改善

≪院長の症例≫

30代女性

主訴:やる気が出ない、寝つきが悪い、頭痛、肩こり、腰痛、胃痛

現症:X-1年主訴発症、心療内科受診し自律神経失調症の診断

ロラゼパム0.5㎎(抗不安薬)処方され自律神経症状は落ち着いていたが

昨年末に内服を中断してから、やる気が出なく、寝つきも悪くなり、不定愁訴も増える

漢方薬局で桂枝茯苓丸か薏苡仁と当帰建中湯をブレンドして内服中

弁証:心肝気鬱、瘀血証

処置:30mm1番鍼で右肝兪10分置鍼

週に1回の治療頻度で、以後足臨泣、三陰交、太衝、神道などを1穴のみ選穴10~20分置鍼

経過:8回の鍼灸治療で体調よくなり、主訴のほとんどは改善、消失

評価:「気分についての質問表」

   初診時16点(軽度のうつ状態)

   2カ月後 4点(うつではない状態)

考察:漢方薬の主治目的と一致した鍼灸の弁証治法によって

   鍼灸、漢方の治療効果が高まったと考える

   ロラゼパム(抗不安薬)の中断によるリバウンドも解消し、軽度のうつ状態も改善した