逆流性食道炎の症例

症例 50代 男性

主訴:胸焼け・吐き気・首肩の凝り・頭痛

現病歴:15年前に逆流性食道炎の診断。ストレス、疲れなどで増悪を繰り返す。

職場でトラブルがあった翌日から、吐き気や頭痛が出現。

病院で点滴、内服薬処方され症状落ち着くが、持続するので当院に来院

本症例の問題点:仕事のプロジェクトなどで多忙、家庭内環境に問題あり、

夕食は22:00過ぎにコンビニ弁当や菓子パンが多い

所見:舌に厚い苔(厚白膩苔)、滑脈、百会に熱感、心下~胃土の邪

弁証:脾胃湿熱、肝鬱化火

治法:清熱利湿、降気瀉火

治療;霊台 に0.20mm×15mmで10分置鍼

経過:一回の治療で主訴はほぼすべて消失、厚い苔や頭部の熱感などの体表観察所見も改善

2回の治療で完治とした。

症例について

逆流性食道炎は、胃酸の分泌が増え過ぎたために、胃や食道に炎症が起きた状態です。

東洋医学的には、脾胃にこもった熱が、気上逆とともに突き上げた状態と考えます。

患者は、日頃からコンビニ弁当や菓子パンなど脾胃に負担をかけていました。

そこにストレスなどが加わり、肝の気逆とともに、胃酸の逆流を起こしたと考えます。

「霊台」は肝の熱を冷ますとともに、黄帝内経の刺熱論編では、霊台は脾胃の熱は診る部位とされています。

このことから、脾胃と肝の熱を同時に冷ます「霊台」が著効したと考えます。

逆流性食道炎は増悪緩解を繰り返すので、食生活、ストレスの発散が重要です。

メカノレセプターについて その2

メカノレセプターは足の裏にある、バランス感覚を脳に伝えるセンサーです。

※部位は画像を参照

メカノレセプターの刺激方法として、

1,マッサージ

2.足浴(足湯)

3.お灸

などがあります。

お灸は自宅でも簡単にできるので、「せんねん灸」や「広重」を「失眠」や「湧泉」といったツボに

刺激すると、効果が期待できるでしょう。

ご高齢者の転倒予防にも応用できる方法ですので、

ふらつきやすい、足裏にしびれがある、バランス感覚が悪い

などの症状のある65歳以上の方は積極的に取り入れましょう!

メカノレセプターについて

歩く時にふらつく、バランス感覚が悪い、足の裏がしびれる。

こんな症状をお持ちのかたは多いのでは無いでしょうか。

人間立っているとき、足の裏にある「メカノレセプター」という感覚センサーが

「今傾いている!」「斜めになっている!」という情報を脳に伝達します。

これにより、人間はバランスを取ったり、立位を維持します。

「メカノレセプター」は、かかとや足の指の付け根に多く分布していますが、

ふらつきやバランスが悪い人は、このメカノレセプターの使い方に偏りがあったり、

うまく働いていないことが知られています。

また、脊柱管狭窄症の術後にしびれが残存している方などにも、

このような症状が現れることもあります。

つづく・・・

頭痛の勉強会にて

昨日は、某病院で「頭痛に関する鍼灸の勉強会」に参加しました。

参加者は、医師、看護師、PTなどなどの医療従事者+鍼灸師。

内容としては、医師からの頭痛に関する西洋医学的な基礎知識。

鍼灸師からは、頭痛に対する鍼灸の東洋医学的理論や、東洋医学的な治療について。

参加された医療従事者は、鍼灸に対する興味や関心の高さが伺えますが、

鍼灸に関する知識はあまりないと思われます。

一般の方や、鍼灸師に対する講習会であれば、問題ないと思われますが、

西洋医学的知識を持つ医療従事者に対して、東洋医学の理論は「なんのことやらさっぱり」といった反応でした。

参加した感想として、医療従事者に対しては、異なる流派の考え方を

医学用語(西洋医学的理論)を用いて説明することの重要性、

特に医師に対しては、鍼灸の作用機序や科学的根拠についての説明が前提であること、だと感じました。

ですが、その後の鍼灸の体験会(?)では、鍼に対する反応は良好!

問題点を改善しながら、よりよい勉強会にしていきたいですね。

顎跛行とは?

顎跛行の症例(側頭動脈炎の疑い)

70代男性

主 訴:右側頭部の食時時入浴時の激痛、

微熱、 下腿がだるい

現病歴:X-1年3月右側頭部痛発症

右頚部のツッパリ感が強い

36.8℃~37℃台の微熱が続く
入浴時、夕食咀嚼時に激痛が出る

ため頭を保冷剤で冷やすと楽にな
る。

脳神経外科を受診

頸椎X-P、頚部エコー、脳MRI、

検査で異常なし
ほぼ毎日ロキソニンを内服する

西洋医学的所見:

側頭動脈圧痛(+)顎跛行(+)

足背動脈、後脛骨動脈共に消失

上り坂、階段の上りで間欠性跛行

弁 証:血虚お血、小陽胆経経気不利

処 置:右聴宮、太衝 風池、胆兪などに

置鍼

経 過:第7診目で顎跛行著明に軽減

NRS10→4

1年半ほぼ毎日続く側頭部痛も

軽減
微熱は36℃台で安定

考 察:※顎跛行とは,咀嚼筋の痛みと疲労

により咀嚼や会話の中断と再開を
繰り返す現象で ”側頭動脈炎”に
特有の症状とされる
浅側頭動脈の怒張と索状肥厚はな
いが、

側頭動脈の拍動の減弱は認め

側頭動脈炎を疑わせる所見も認め
られるので
患者様には鍼治療で痛みに変化が
なければ神経内科をご紹介する旨
を伝え鍼灸治療を開始
経過はとても良好

以後1年経過し頭痛は消失

東洋医学会へ参加

6月30、31日と東京の京王プラザで開催された東洋医学会学術総会へ参加しました。

東洋医学会は、漢方と鍼灸を中心とした、臨床、研究、教育に関する学会です。

参加するのは、西洋医学に漢方を取り入れ診療を行う医師や、鍼灸師が中心となります。

中でも特に人気だったセッションは「医師と鍼灸師のための鍼灸セミナー」でした。

講師は著名な鍼灸師の先生方でしたので、会場は超満員でした。

医師からは積極的に質問が飛び交い、鍼灸への関心の高さが伺えました。

学会を通して、鍼灸と漢方の併用に関する話題が少いように感じました。

本来東洋医学は、鍼灸と漢方を双方を併用し、補完しあうことが重要ですが、

保険制度の問題や、鍼灸師と漢方医との連携がとれていないことなどが問題点です。

今後は、学会を通して漢方医と鍼灸師とのつながりが強くなっていくことを期待したいです。

梅雨に多い症状-全身のだるさ・倦怠感-

湿度が高く、ジメジメした気候が続くと「なんとなく体がだるくて、やる気でない」

という方は多いのではないでしょうか?

やはりこれも「湿邪」の影響と考えられます。

湿邪について
https://blogs.yahoo.co.jp/n_harikyu/72841853.html

湿邪がツボの通り道「経絡」に滞ると、気血のめぐりがスムーズで無くなり、

だるさ、痛み、しびれ、コリなどの原因になります。

この状態を東洋医学では「痺証」といいます。

また、気血を手足末端に運ぶためには「脾」(消化吸収)の働きが重要です。

普段から暴飲暴食、甘い物が多い人は「脾」を弱らしているので

さらに気血のめぐりが悪くなります。

「陰陵泉」というツボは「脾」の働きを整え、利尿作用で水分を排出したり、

下肢のだるさやむくみを軽減するのに有効です。

グッと押さえて痛い人は、この時期はしっかり養生しましょう。

つづく・・・

メニエル病の有効症例(TCHの影響)

院長の症例

主 訴:吐き気を伴うめまい

患 者:50代女性

現病歴:数年前から回転性のめまいを

数回発症
耳鼻科でメニエル病の診断
回転性のめまいが治まっても
フワフワした乗物酔いのような
状態と吐き気が続く
点滴を受けめまいの薬を内服す
るも改善しない

所 見:眼振なし、

頭を動かすとフワフワ感が増す

めまいの発作が怖いためか
TCH(歯の接触癖)
が認められる

脈 診:沈虚

舌 診:淡紅色、白薄苔、舌尖紅、

舌下静脈は白抜け

弁 証:肝陽上亢、血虚

処 置:左右聴宮・左内関・三陰交に

15分置鍼

経 過:1週間後に再診、

初診治療後からフワフワした
めまいと吐き気は消失
頭がすっきりした状態が

1週間続いている

考 察:TCHに対する聴宮の置鍼後に

胸鎖乳突筋の過緊張が消失
内関は肝気を下げ、
三陰交は補血となった
脈診舌診共に良好な変化を認め
メニエル病に伴う浮遊性の
めまいと吐き気に
鍼治療は有効な治療法と考える

またTCH(歯の接触癖)と
慢性的な難治性めまいの関連性
が認められることは多く
当院の有効症例で
確認されている

梅雨に多い症状-胃腸の不調 その3-

https://www.yomeishu.co.jp/health/3371/
養命酒のホームページで食養生についてわかりやすく記載があります。

梅雨の食養生

前回お話したように、梅雨は「脾胃」の働きが低下するため、

まずは、食べ過ぎや飲み過ぎに注意しましょう!

食養生としては、図(※)にあるように「熱」や「寒」に偏る食材をさけて

「温」「平」「涼」に分類される食材を取るといいでしょう。

※食材の五性といって、食材にはそれぞれ性質があるので、

体質や気候に合わせて適切な食材を選びましょう

大根、なす、きゅうりなどは適度に体の熱を取りながら、利尿を促すのでおすすめです。

にら、しょうが、ねぎは体を温め水分代謝を改善させるので、気温が急激に下がったときや、

体が冷えた風邪のひき始めにおすすめです。

つづく・・・

梅雨に多い症状-胃腸の不調 その2-

https://weathernews.jp/s/topics/201906/130135/ より引用

東洋医学における梅雨の養生法

湿気が盛んな梅雨の気候を、東洋医学では「湿邪」といいます。

「湿邪」には、体の外から入ってくる「外湿」と、

体の内側に生じる「内湿」の2種類あります。

梅雨は「外湿」が盛んになるため、「内湿」が体にこもりやすい時期になります。

「内湿」は、消化吸収機能に重要な「脾胃」の機能を低下させます。

つまり、梅雨の時期は「脾胃」=「消化吸収」の働きを健やかにしておく必要があります。

「脾胃」が健やかでないと、

・下痢しやすい
・食欲がない
・手足がむくむ
・からだがだるい

などの症状が出てきます。

雨になると調子が悪いというかたは、「脾胃」の働きが低下しています。

「脾胃」の働きを調べるのは、自分の舌を見てみましょう。

・白い苔が多い
・舌全体が腫れぼったい
・歯形がついている

当てはまる方は要注意です!

つづく・・・