自分史10

鍼灸臨床に於いて最も大切なこと

それは「人の病を治したいという一念」

これこそ医療の原点

苦しんでいる人に何とか楽になってほしいと

一生懸命に治療することが医の原点である

と「弁釈鍼道秘結集」藤本蓮風先生著

に書いてある

鍼灸医学を志した35年前

解剖学・生理学・病理学・等の

基礎医学の授業は特に面白く

ワクワクしながら聞いていた

医学を学ぶことに飢えていたので

枯れた大地に水が沁みこむように

知識が入っていった

病を治せる鍼灸師になりたいという

純粋な気持ちがすべてだった・・・

自分史9

同級生にはすごい男がいた

既にマッサージの国家資格を持っており

入学前から治療院を開業

有名スポーツ選手を治療するほどの腕前だった

西洋医学的な知識や臨床経験が豊富なので

臨床実技や臨床各論などは教師よりも頼りになり

何かと教えを乞うていた

そんなとき彼は

「あんたは将来いい臨床家になるよ」とよく褒めてくれた

後に彼はプロ野球、新日本プロレス、オリンピックメダリストなど

日本の名だたるトップアスリートから信頼される治療家として

マスコミにも度々取り上げられるほど有名になった・・・

院内勉強会

今夜は院内勉強会

①新人スタッフの教育

②体表観察実技

③スタッフの鍼灸治療

40代女性スタッフ

主訴:痰がらみの咳

脈診:弦脈・右関上枯脈・左尺位沈虚

舌診:淡紅色・厚白膩苔・舌尖紅

弁証:肝鬱気滞・湿痰

治法:疏肝理気・利湿

処置:左後谿20分置鍼・公孫施灸7壮

喉が渇くので最近水分摂取過多

仕事が多忙により肝鬱傾向

スタッフの健康管理も大切な仕事

自分史8

同級生には

中医師(中国では西洋医師と中医師の医師免許がある)が二人もいた

当時社会をにぎわせていた中国残留日本人孤児だった

※【中国残留日本人孤児】

第二次世界大戦終戦の混乱のなか

主として旧満州にいた日本人民間人の子供で

肉親と離ればなれになり

そのまま中国人養父母のもとで育てられてきた人たちのことをいう

同級生となった二人は

幸運にも裕福な中国人の家庭で育てられ医学部に進学

20年のキャリアをもつ中医師となって日本に帰国するも

中国の医師免許は日本で使えないため

鍼灸専門学校に入学してきた人たちだった

その二人とはその後とても親しくなり

鍼灸師として大きく影響を受けることになった・・・

自分史7

鍼灸科1クラス30人

男女比6:4

高校の新卒が半数

柔道整復師の有資格者2人

マッサージの資格取得者3人

薬剤師の資格取得者2人

脱サラ組が数名

年齢は18才から60才

鍼灸専門学校入学生の多様さに驚いた・・・

自分史6

日本初の鍼灸大学として有名な

明治鍼灸大学が第一候補だったが

受験勉強する時間がなく断念

いろいろ調べた結果

学校長が名古屋大学医学部名誉教授

講師も医師が多い

中和鍼灸専門学校がよさそうなので

受験することになった

入学試験の倍率は

鍼灸科1.2倍

鍼灸マッサージ科3倍

鍼灸師以外の選択肢はなく

鍼灸科を受験

受験勉強するまでもなく合格し

ブラック企業退職後1ヶ月で

27才の入学式となった・・・

自分史5

名古屋に戻り

鍼灸学校を調査した

鍼灸の専門学校は名古屋市内に1校

国府宮市に1校

3年間全日制で卒業後に国家試験があるという

医療系の国家資格で開業権を有する資格は

医師・歯科医師・獣医師・鍼灸師・柔道整復師

頑張れば自分の鍼灸院が持てるのが魅力だった・・・

院内勉強会

今夜は院内勉強会

美容鍼チーム

10月からスタートする新しい美容鍼の実習

鍼灸チーム

日頃溜っているカルテの整理

医師への経過報告書の書き方の指導

医師と連携するための

紹介状・検査依頼状・経過報告書を

スラスラと書けるようになる為の勉強

20:30~22:30の予定

自分史4

ブラック企業に見切りをつけ

この病をきっかけに転職を考えるようになった

中国人の医師との出会いの影響で

中国医学(中医学)に興味を持ち

転職ではなく

鍼灸師の国家資格取得を目指すことになった

27歳の春だった・・・

自分史3

ハネムーン麻痺とは

前腕の末梢性神経麻痺で

「橈骨神経麻痺」という

「新婚初夜に新郎の腕枕で新婦が寝て

上腕部の橈骨神経を長時間圧迫し

前腕の橈骨神経支配領域に発症する筋麻痺」

を例えてハネムーン麻痺という

そういえば

前の夜に深酒をし

”自分の腕枕”に”自分の頭”をのせて

朝まで寝ていたことを思い出した

橈骨神経麻痺は末梢神経麻痺の中ではありふれた疾患で

初診の西洋医が何故診断できなかったのかは

今も信じられないが(研修医だったかも)

藁をもすがる身としては

中国人の医師の診たてによって

中国医学ってすごい!と感嘆

東洋医学との出会いはここから始まった・・・