寒気の南下と寒邪

最近朝晩冷え込みを感じるようになった

上空には真冬並みの寒気が南下してきている

病邪という病気の原因となる外因(生体以外の外から侵入する邪気)には

風邪・寒邪・湿邪・熱邪・燥邪・火邪という六淫の邪気がある

このところ”寒邪”により軽い風邪の症状を発症する人が多い

体表では外関・風門・肺兪等の経穴の左右差や発汗・冷え等を調べ

脈が浮いてきているようなら、大方冷えや発汗えを認める上記の経穴に

瀉法をすると寒気や喉の痛み等が早期に緩解する

※この”気象学”という書庫の内容は

北辰会講師の橋本浩一先生(鍼灸師・気象予報士)の著書

「内径気象学入門」緑書房よりしばしば引用させていただいている

この本は黄帝内経≪素問≫陰陽応象大論に記述されている

気象学の原理・法則に基づき、現代気象学も応用した世界で初めての名著である

興味がある方は一読をお勧めする

東洋医学を学ぶ医師達

昨日は大阪で”北辰会”臨床部会があり

スタッフと仲間8人で参加してきた

午前中は”原穴診”一緒になった相手は初参加の医師だった

最近医師の会員が増えている

内科系の医師が多いが

昨日のDrは自分の腰椎椎間板ヘルニアを藤本蓮風先生に

治してもらって、鍼灸(東洋医学)に注目し

東洋医学のいろはから学び始めたところだそうだ

東洋医学を学ぼうとする医師は

患者さん中心の医療を目指している真摯な医療人だ

子供の噛み合せ不良と肩こり

中学生♀

慢性的な頑固な肩こり

歯並びを診ると奥歯だけが噛み合っていて

噛み合せても他の歯は全く浮いた状態

矯正歯科でワイヤーブラケットで矯正中であるが

治療が終了するまで数年かかりそうである

頑固な肩こりの原因はこの噛み合せの不良にあった

左右の胸鎖乳突筋が異常に緊張しているので

僧帽筋(肩の筋肉)も影響して石のよう硬い

矯正歯科と協調して治療が必要な症例だ

お子さんのひどい肩こりは歯のかみ合わせをチェックが欠かせない

病を治すためには

よく「ここのベッドに寝るだけで身体がラクになる」

と言われることがある

患者さんたちはこの治療院に入った瞬間にすでに

治療が始まっている

この治療院の雰囲気、スタッフ、担当鍼灸師、受付、治療、説明、養生のアドバイス

全てがその患者さんのツボに入った時にそのような感覚になるものであろう

治療に対する反応も当然良くなり、病も早く治っていく

「ここに来れば何でも相談できるので安心」とおっしゃる患者さんは

大抵はプラス思考で人生に前向き

ストレスやトラブルもうまく受け流すことができる

鍼灸学会中部支部学術集会

昨日は一日名駅のウインク愛知で開催された

「(社)日本鍼灸学会中部支部学術集会」に参加してきた

特別講演が3題、一般演題が19題の発表があった

私が来年の鍼灸学会学術大会三重大会で症例報告をする予定なので

会員の発表の仕方、内容を拝聴し参考にさせて頂いた

印象としては、疾患の著効一症例の報告が多く

もっと多くの症例の集積をして有効率をデーターで示すと

鍼灸のEBM(科学的根拠)に繋がると思うが

日常の多忙な臨床の合間におおくの症例データーを

集積するのは実際には大変な作業だ

12月には小牧市での舌診の講義も控えて準備を始めているし

来年の研究発表の構想も考えているところである

[http://www.n-acp,com]

高血圧の治療

70代♀

週に一度身体のメンテナンスを受けている患者さん

今朝から血圧高く家で測ったらBP199/90とのこと

治療前に測定するとBP190/80と確かに高い

気分も悪そうでイライラしている表情だ

脈診すると浮枯弦の脈

お血もあるので

左三陰交、太衝に10分置鍼

直後に再度測定するとBP160/80に落ち着いた

日頃からこの程度の値なので

今日は一時的な”気逆”による血圧上昇と考えられる

ストレッサーは家庭内の問題

対策をアドバイスして元気にお帰りになった

秋の養生

今日は二四節気の秋分

台風一過の爽やかな秋晴れが季節の移ろいを感じる

中国では「春悟秋凍」を実行していると病気にならないといわれる

「春悟秋凍」とは季節の変わり目に衣類を調節するための原則をうたったもので

冬から春に代わるとき、特に春の初めの頃は

衣服をすぐに薄くせずに寒邪から身体を守り

逆に夏から秋にかけては一気に衣服を増やさず

暑かった夏の陽気を納め、陰気を身体に蓄えるために

少々薄着で寒さに耐える身体作りしようとする先人の知恵である

この考え方は衣服のみではなく寝具でも

秋になってすぐに布団を増やさないことも言われている

近年特に子供たちに「秋凍」の習慣が必要と言われている

子供は体温が高いので、過保護にならないようにすること

上記の健康法はあくまで健康な人の未病への指南である

高齢者や乳幼児は体温調節気が充分でないので無理は禁物である

また、「陽虚」体質の人(一年中寒がり)は早めに寒さ対策が必要だ

美容鍼解説

鍼灸の発祥の地である中国では、

昔より、「美は健康を基礎として成立つものである」

「健康と美容は表裏一体である」という認識が存在し

美容の分野においても、鍼灸が盛んに実践されてきました。

中国には、長い歴史と高度に体系化された独自の理論を持つ

「中医学」という伝統医学があって「美容鍼」という美容の専門科目も存在します

欧米や日本では、「医療」と「美容」とをそれぞれ別の分野として認識する傾向がありますが

中医学では、「健康」と「美容」は元来切っても切れない

「表裏一体」の関係にあると認識されているため

中医学には美容の専門科目も確立されているのです。

当院でおこなう「中医美容鍼」は、このような「中医美容学」に基づいた

ホリスティックな全身治療をベースとし、ニーズに応じた、施術をさせていただくことによって

イキイキとした心身の健康を増進することを目的としています

biyou/

逆子(骨盤位)の治療

胎児の頭を上にした状態で足やお尻が子宮口の近くにある姿勢を

「逆子」または「骨盤位」と言いう

妊娠28週で逆子と診断された場合は約90%、

32週で約80%、36周でも約65%は自然に頭位

(頭が子宮口の近くにある姿勢)に戻るという報告もある一方

妊婦の10%が戻らないというデーターもある

最終的には帝王切開となる

逆子と診断された時に、鍼灸はファーストチョイスの治療法である

25年前に鍼灸学会で画期的な症例報告があった

昭和大学付属病院、産婦人科逆子外来のチームが

約1800の逆子の症例全てに、鍼灸治療をして

有効率87%に達したというDrからのプレゼンがあった

これを契機にして逆子の鍼灸治療を当院でも積極的に取り入れた

中には帝王切開予定日の1週間前に成功した症例もある

産婦人科外来で鍼灸を取り入れているクリニックもあるが

本来産婦人科でもっと広まるべきではないかと思っている

治療に最も反応する周期は28週~32週

実際に鍼灸院に来院する妊婦さんの半数は32週過ぎ

帝王切開の予定を告げられてあわてて来院という症例も珍しくない

多くの妊婦さんに【28週~32週の治療】という事実を知って欲しい

人はなぜ治るのか

長年この仕事をしていると

病気をつくるのも治すのも

ココロと身体のバランスであることに気付く

自然治癒力が旺盛ならば病は自然に治っていく

昨日紹介した「統合医療」の先駆者Drアンドルー・ワイル氏の

著書「人はなぜ治るのか」を今読みかけている

本文より引用した病気の十大原理とは・・・

①完璧な健康は達成できない

②病気になっても大丈夫

③からだには自然治癒力がある

④病気の作因は病気の原因ではない

⑤あらゆる病気は心身相関病である

⑥病気には必ず軽微な兆候がある

⑦からだはひとによって異なる

⑧どんな人にも弱点がある

⑨血液は治癒エネルギーの主要媒体である

⑩正しい呼吸は健康への鍵である

これらの表現には我々の東洋医学思想と相通じるものが多くある

興味がある方は是非一読をお勧めする