自分史14

中国の留学を諦め

鍼灸院での修行を考えていたところ

前出の山田鑑照先生が鍼灸院スタッフ募集のチラシを持ってきて下さった

渡りに船とはこのこと

名古屋市西区の長谷川針灸院で働くことになった

師匠の長谷川栄一先生とのご縁は今でも続いており

師弟以上の関係になろうとは当時思いもしなかった・・・

自分史13

中国に留学して鍼灸の研究をしたいと真剣に思った

ならばこの先生に相談するといい、と知人の紹介で

高木健太郎先生のご自宅に招かれた

当時名古屋市立大学学長であった

高木健太郎先生(医学博士)は

汗の研究、体温調節研究の世界的権威であり、

鍼灸医学の研究の為に再三中国を訪問し

西洋医学と東洋医学の交流に貢献

全日本鍼灸学会を設立

後に世界鍼灸学会連合会名誉会長になられ

鍼灸の研究者としても世界的に大変著名なお方だった

そんな偉い先生が鍼灸の勉強を始めたばかりの若造と会ってくれた

「中国に留学して鍼灸の勉強をしたい」という考えを伝えると

「日本人には日本の鍼灸が合っている、

中国に留学するよりも腕のいい日本の鍼灸院でしっかり勉強しなさい」

鍼灸医学の研究で何度も中国を訪問されている先生の言葉には重みがあった・・・

自分史12

基礎医学の講義の中でも

解剖学は面白い講義の筆頭だった

講師の山田鑑照先生は

学位を持つ鍼灸師として

異色の経歴の持ち主

旭丘高校卒業

駒沢大学仏教学部禅学科卒業

名古屋市立大学医学部第一解剖学教室研究員

名古屋大学医学部第二解剖学教室研究員

名古屋大学において医学博士の学位取得

卒業後もいろいろお世話になり

親しくさせていただいている・・・

院内勉強会

今夜は院内勉強会

①美容鍼チーム

フェイシャルエステ+美容鍼の実習

②鍼灸チーム

新人スタッフの施灸練習と取穴の確認

③外部参加チーム

体表観察実技

22:30まで頑張ります

本当に必要な薬

最近発刊された「本当に必要な薬がわかる本」には

名大統合ヘルスケアチームメンバーの

高橋徳先生(Dr)が寄稿されているが

もし10種類しかお薬を処方できないとしたら

医師として何を残しますか?

という問いに対して

①感冒薬としての漢方薬(葛根湯・小青龍湯・麦門冬)

②滋養強壮剤としての漢方薬(補中益気湯・十全大補湯)

③抗精神病薬としての漢方薬(加味帰脾湯・抑肝散・香蘇散)

④急性の疼痛や炎症に対する鎮痛剤(NSAIDs非ステロイド系解熱鎮痛薬)

⑤急性の感染症に対する抗生物質(セファロスポリン系・ペニシリン系・マクロライド系)

⑥高血圧症に対する降圧剤(カルシウム拮抗剤)

以上の6種類の薬剤で充分であると答えている

ご自分のクリニックでは原則として上紀の薬以外は処方していないとのこと

あくまで患者自身の自然治癒力を引き出すため

①鍼灸治療

②ヨーガ療法

③瞑想

以上を主な治療としてに取り入れ

漢方薬以外殆ど薬を出さないクリニックは

国民皆保険の我が国では少数派

欧米では珍しくない

安価で気軽に医師にかかれ

薬に依存しすぎるこの国の医療は

国民皆保険制度の弊害ともいえる

自分史11

あるとき風邪をひき

1ヶ月咳が止まらなくなった

それまで話をしたことが殆どなかった

中医師の同級生のおばちゃんが

昼休みに鍼治療をしてくれるという

脈診をして右の外関と風門に8番鍼で得気した直後

横隔膜から上、特に肩背部がポカポカ温まり始めた

椅子に座って約10分

1ヶ月間続いた酷い咳は

驚くことに以降ピタリと止まった

もともと中国医学に興味があったので

この治療で自分が学ぶべきは中医学だと確信した・・・

自分史10

鍼灸臨床に於いて最も大切なこと

それは「人の病を治したいという一念」

これこそ医療の原点

苦しんでいる人に何とか楽になってほしいと

一生懸命に治療することが医の原点である

と「弁釈鍼道秘結集」藤本蓮風先生著

に書いてある

鍼灸医学を志した35年前

解剖学・生理学・病理学・等の

基礎医学の授業は特に面白く

ワクワクしながら聞いていた

医学を学ぶことに飢えていたので

枯れた大地に水が沁みこむように

知識が入っていった

病を治せる鍼灸師になりたいという

純粋な気持ちがすべてだった・・・

自分史9

同級生にはすごい男がいた

既にマッサージの国家資格を持っており

入学前から治療院を開業

有名スポーツ選手を治療するほどの腕前だった

西洋医学的な知識や臨床経験が豊富なので

臨床実技や臨床各論などは教師よりも頼りになり

何かと教えを乞うていた

そんなとき彼は

「あんたは将来いい臨床家になるよ」とよく褒めてくれた

後に彼はプロ野球、新日本プロレス、オリンピックメダリストなど

日本の名だたるトップアスリートから信頼される治療家として

マスコミにも度々取り上げられるほど有名になった・・・

院内勉強会

今夜は院内勉強会

①新人スタッフの教育

②体表観察実技

③スタッフの鍼灸治療

40代女性スタッフ

主訴:痰がらみの咳

脈診:弦脈・右関上枯脈・左尺位沈虚

舌診:淡紅色・厚白膩苔・舌尖紅

弁証:肝鬱気滞・湿痰

治法:疏肝理気・利湿

処置:左後谿20分置鍼・公孫施灸7壮

喉が渇くので最近水分摂取過多

仕事が多忙により肝鬱傾向

スタッフの健康管理も大切な仕事

自分史8

同級生には

中医師(中国では西洋医師と中医師の医師免許がある)が二人もいた

当時社会をにぎわせていた中国残留日本人孤児だった

※【中国残留日本人孤児】

第二次世界大戦終戦の混乱のなか

主として旧満州にいた日本人民間人の子供で

肉親と離ればなれになり

そのまま中国人養父母のもとで育てられてきた人たちのことをいう

同級生となった二人は

幸運にも裕福な中国人の家庭で育てられ医学部に進学

20年のキャリアをもつ中医師となって日本に帰国するも

中国の医師免許は日本で使えないため

鍼灸専門学校に入学してきた人たちだった

その二人とはその後とても親しくなり

鍼灸師として大きく影響を受けることになった・・・