鍼灸学会のポスター発表での症例

鍼灸学会で、特に興味深かったポスター発表を紹介します。

タイトル:巨闕穴への円皮鍼でストレスを緩和できるか

Patient:健康学生の心身状態とストレス反応を指標として

Intervention:心の募穴「巨闕」にPyonexを6日間貼付し、対照群は無治療とする(4週間継続)

Comparison:貼付前後のGHQ28(精神健康調査)とOHQ57(東洋医学健康調査)、巨闕の硬度、圧痛閾値を

測定し、対照群(無治療)と比較

Outcome:有意差は無いが、圧痛閾値、巨闕の硬度、GHQ28とOHQ57のスコアが減少傾向、

OHQのスコア別では心脾のスコアが有意に減少した。

長期のストレス負荷は、肝だけでなく心、脾などの働きを低下させることから

心の募穴である「巨闕」をしようすることで、心脾両虚のような肝鬱気滞から派生した状態に、

有効性を示すことが示唆されました。明日の臨床に役立つ情報を知ることができました。

リベド血管炎の発表資料

リベド血管炎の症例報告について

今回の鍼灸学会で発表した内容が

所属する(一社)愛知県鍼灸師会会報に

掲載されることになりました

つきましては会員各位がが閲覧できるように

ブログにポスターと写真を貼り付けました

院長より

全日本鍼灸学会 参加報告その2

こんばんは、長岡哲輝です。

全日本鍼灸学会は、2日目からの参加でした。

前日は、友人の結婚式に参加していました^^

学会に参加して、同年代の鍼灸師や、学会役員の先生方とお話していた中で、

特に大学や大学院卒の鍼灸師が、質の高い研究を報告することが、

学会の地位向上と、発展に重要と感じました。

実は、大学同期で学会に参加している鍼灸師は数名ほど・・・・

その中で学会発表をしているのはさらに少数。

学術大会の存在すら知らない鍼灸師も多数いるでしょう。

これからの鍼灸学会をよりよく、地位を向上させるためにも

我々若い世代がまずは参加!

そして質の高い発表をすること!(今年は僕もできてません、反省!)

来年は京都です。

母校のある京都で、大いに盛り上がる学会になることを期待します。

リベド血管炎(症)の症例報告

院長投稿です

第68回(公社)全日本鍼灸学会学術大会in名古屋に参加

会場:名古屋国際会議場

「リベド血管症の一症例」をポスターセッションで発表し

この疾患について鍼灸の症例報告は過去になく※世界で初となった

※Pubmed,医中誌等の検索による(英文検索も含めて)

症 例:50代女性

主 訴:リベド血管症による下腿の潰瘍の痛み

現病歴:X-7年下腿全体に紫斑出現

    X-5年潰瘍が出現ビリビリした痛みも出始める

    大学病院の皮膚科でリベド血管症と診断

    内服治療で変化が認められずにX年7月潰瘍部が悪化し

    足関節部が腫れて毎晩2~3回痛みで目覚めるようになる

    下腿の痛みで足を引きずって歩行する状態でX年8月当院受診

東洋医学所見:脈診:中位緊細、一息4至

       舌診:少し暗紅色、胖大、薄白苔、舌腹は暗紅色舌下静脈怒張、瘀斑あり

弁 証:気滞血瘀

鍼治療:右合谷に15㎜2番鍼、左三陰交に40㎜2番鍼を20分間置鍼。週に1回の通院頻度とした。

経 過:鍼治療開始1ヶ月第4診目で下腿潰瘍の状態が改善し始め、

    下腿の痛みはNRS10→5に軽減。3ヶ月第12診目で下腿潰瘍は消失,下腿の痛みも消失した。

考 察:リベド血管症は、再発寛解を繰り返す有痛性皮膚疾患で

    有病率は10万人に1人という稀な疾患

    皮膚科学会での治療のガイドラインがなく治療法が定まっていない

    ステロイドは無効

    当院で21例の名の症例の内

    遠方により通院困難な7名

    脱落3名、治療終了3名、通院中8名

有効率78%

    男女比1:4、発症時平均年齢28.1才、初診時平均年齢36.8才
   
    多くは梅雨期から初夏に悪化する傾向があり

    年単位での慎重な経過観察が必要な疾患といえる
    
    聴講された鍼灸師の先生の殆どがこの疾患の存在をご存じなく
 
    症例集積を継続して学会誌に投稿したいと考えている

    
感 想:今回鍼灸学会に症例報告する準備を進めることで、

    リベド血管症についてより深く知識を深め

    発表後に熱心に質問された先生方からは今後の症例集積
    
    への指針となるアドバイスも頂き、とても良い経験となった

    来年は京都で開催されます

明日から鍼灸学会です

明日5/11(土)は学会参加のため、休診とさせて頂きます。

今回の鍼灸学会は、名古屋での開催になります。

当院からは、院長が「リベド血管症に対する1症例報告」を発表します。

後日、参加報告をさせていただきます。

臨時休診のご案内

5月11日(土)は鍼灸学会へ参加のため、休診とさせていただきます。

明日(5/8)も臨時休診とさせていただきます。

5/9(木)は9:00~11:30、15:00~19:00の時間で診療致します。

ご迷惑おかけしますが、よろしくお願いします。

GW休診日のご案内

GWの休診日は5月2日~5日までです。

6日から通常診療ですので、よろしくお願いいたします。

平成最後の診療日

今日は平成最後の診療日となりました。

平成元年に開業した長岡治療院も今年で31年目に突入。

明日から、令和元年。

長岡治療院の新たな時代を築くため、成長は止まることはありません。

サヨナラ平成!!

ある僧侶の不思議な体験

今日は少しテイストを変えて、とある僧侶のお話をしたいと思います。

その僧侶は僕の先輩にあたる方で、鍼灸師の資格を持つT先生です。

T先生は、僧侶になるために出雲へ修行に出ました。

T先生の入った道場は日本で最も厳しいといわれる道場で、

修行中、存在しないものが見えたり、錯乱状態に至ったりと

尋常では無い環境に身をおいていたようです。

そんな中、とても不思議な体験をしました。

修行では、正座やあぐらを長時間するため、膝への負担がとても大きく、

炎症を起こして、水がパンパンに溜まってきてしまったそうです。

膝がほとんど曲がらなくなってしまい、修行を諦めようかとおもったほどでした。

修行中は薬を服用したりや、鍼をうつことはできないため、

どうすることもできない状況から浮かんだアイデアは

「人のためになることを精一杯しよう」ということでした。

その日から、T先生は朝一番におきてトイレの掃除をしたり、

草むしりをしたり、とにかく人の為になることを全力で取り組んだそうです。

すると3日後からパンパンに腫れていたはずの膝の水がみるみる抜けて、

すっかり膝が曲げれるようになったといいます。

T先生が極限状態から浮かんだアイデアは、「自分を犠牲にしても人のために尽くす」という

仏教の教えに従い、行動することでした。

その結果、医学では説明のできない現象を引き起こしたのだろう

とT先生はいっていました。

人のために何かをすること、犠牲を払うことは

仏教の世界だけでなく、私達の身の回りのことにも通じると思います。

ボランティアをしたり、人との繋がりを大切にする人は長生きであるというデータもあります。

科学では解明できないT先生の不思議な体験は、人間としてとても大事なことを教えてくれました。

帯状疱疹後神経痛の症例

60代 女性

主訴:右手掌のしびれ、右手の筋力低下

現病歴:X年9月頃、庭仕事の後から右前腕に強い痛みを自覚。

10月初旬になると手に発疹が出現したため、近医の皮膚科を受診して帯状疱疹の診断。

発疹はおちつくが、しびれが軽減しないため当院に受診。

現症:右のC6-C8領域に発疹(痂皮化)、右の第3~4指の先端は知覚過敏

握力は右8kg、前腕や手指の筋力低下が顕著

西洋医学的病態:帯状疱疹による神経障害性疼痛
治療:4診目までは合谷、神門などを選穴、5診目移行はC5-6傍脊柱部、尺骨神経走行部などへ刺鍼

経過:初診治療直後に握力8kg→10kgへ増加、しびれも10→7へ軽減。

その後も、ステロイド、リリカなど薬物療法と鍼灸治療を併用し、1ヶ月半ほどで完治。

握力も左右差ほとんど無くなるまで改善しました。

考察:帯状疱疹後神経痛は60歳以上や、初期の疼痛の程度が強い場合、

難治性で慢性疼痛に移行しやすいと言われています。

本症例でも、初期の疼痛の程度は強く、高齢でありました。

また、感覚神経だけではなく、運動神経の麻痺が起こっており、予後不良と思われましたが、

薬物治療と鍼灸治療の併用で、約2ヶ月で完治する事ができました。

発症初期になるべく早く抗ウイルス薬を開始し、鍼灸治療を併用することで、

帯状疱疹後神経痛の遷延を予防することができます。