自律神経失調症(軽度のうつ状態)改善

≪院長の症例≫

30代女性

主訴:やる気が出ない、寝つきが悪い、頭痛、肩こり、腰痛、胃痛

現症:X-1年主訴発症、心療内科受診し自律神経失調症の診断

ロラゼパム0.5㎎(抗不安薬)処方され自律神経症状は落ち着いていたが

昨年末に内服を中断してから、やる気が出なく、寝つきも悪くなり、不定愁訴も増える

漢方薬局で桂枝茯苓丸か薏苡仁と当帰建中湯をブレンドして内服中

弁証:心肝気鬱、瘀血証

処置:30mm1番鍼で右肝兪10分置鍼

週に1回の治療頻度で、以後足臨泣、三陰交、太衝、神道などを1穴のみ選穴10~20分置鍼

経過:8回の鍼灸治療で体調よくなり、主訴のほとんどは改善、消失

評価:「気分についての質問表」

   初診時16点(軽度のうつ状態)

   2カ月後 4点(うつではない状態)

考察:漢方薬の主治目的と一致した鍼灸の弁証治法によって

   鍼灸、漢方の治療効果が高まったと考える

   ロラゼパム(抗不安薬)の中断によるリバウンドも解消し、軽度のうつ状態も改善した

顔面神経麻痺(ベル麻痺)著効

以前ブログで紹介した、顔面神経麻痺の症例に鍼治療が著効したので、報告します。

この症例の詳しい病歴はURLからご覧ください。
https://blogs.yahoo.co.jp/n_harikyu/72765398.html

来院時、顔面の筋肉の動きはほとんど無く、顔面神経麻痺のスコアは、

40点満点中、8点と重症でした。

神経生理学検査のENoGという検査では、正常な側と比べると顔面神経の働きは10%以下でした。

※ENoG(Electro neuro graphy)は顔面神経に電気刺激を与え、

表情筋の活動電位を測定する方法。正常な神経と、変性した神経の割合を調べることができる。

75%以上は予後良好で、10%以下は予後不良と言われている。

3回の治療で表情筋の動きはほぼ正常に戻り、

スコアは8点→30点と劇的に変化しました。

この症例から学ぶこと

顔面神経麻痺は、発症後2~3日で神経の変性が始まると言われています。

また、発症2週間を過ぎると治癒率は30%と低くなります。

この症例では、発症の翌日にステロイド、抗ウイルス薬の治療が開始できたこと、

また、1週間以内に鍼灸治療を併用したことが、症状改善につながったと考えます。

顔面神経麻痺を発症した場合、すぐに西洋医学の治療を受けること、

早期(1~2週間以内)に鍼灸治療を併用することが重要です。

愛知県鍼灸師会 理事会@長谷川針灸院

昨日は愛知県鍼灸師会の理事会でした。

今回は、豊田地域医療センターから寺澤先生をお招きしました。

寺澤先生との出会いは、以前ブログでご紹介しました。

https://blogs.yahoo.co.jp/n_harikyu/72723013.html

話題は、

1.総合診療・家庭医療について

2.病院(クリニック)と鍼灸院の連携に必要なスキルや知識について

3.今後、鍼灸師会として取り組まなければいけないこと

和気あいあいとした雰囲気のなか、楽しくディスカッションができました。

“意識高すぎる系”鍼灸師と、“超ストイック”総合診療医の濃密な2時間でした。笑

認知症にならないためには その2

認知症を予防のためには

人生の目的(生きがい)を見つけることはとても重要です。

宮城県大崎市に住む、40-79歳の男女を対象に行われた調査によると、

あなたは「生きがい」や「ハリ」を持って生活していますか?

という質問に対して、あると答えた人は、無いと答えた人よりも長生きなことが分かりました。

この他にも、「人生の目的や目標」を持っている人は認知症の進行を抑制できる、

ということも分かっています。

人生の目的や生きがいのある人は、様々な価値観の人と交流があったり、

活動的であって体を動かしたり、頭を使ったりする機会が多いです。

認知症は脳の神経細胞の老化が原因です。

道路の多い道は、多少道が塞がっても渋滞が起こりくいですよね?

脳細胞もこれと同じで、神経の回路が多ければ多いほどダメージを受けにくいのです。

「老後は悠々自適に」よりも、仕事、趣味、友人関係、家族、など

自分なりの生きがいをみつけてハリのある生活をおくるほうが

「ボケ防止」には近道なのです。

認知症にならないためには

認知症は予防できる病気です。

また、最近忘れっぽくなった、ミスが多くなった、集中力が続かなくなった。

など、加齢とともに認知機能に衰えを感じる方は多いと思います。

認知症の予防で最も重要なのは

1.人とのつながりを大切にする(社会参加)

2.人生の目的を見つける(生きがい)

3.運動する習慣をつける

1の重要性については、以前ブログでも紹介しました。

[https://blogs.yahoo.co.jp/n_harikyu/72758879.html]

家族との関係、ご近所付き合い、友人と会うこと、デイサービスに行くこと、ボランティアに参加する…

人、地域、社会と関わりがあることが認知症の予防には重要です。

つづく・・・

軽度認知障害(MCI)について

認知症じゃない、でも同年代の人と比べたらかなり認知機能障害がある・・・

そんな認知症の前駆段階を「軽度認知障害(MCI)」といいます。

じゃあ物忘れが人より多かったら、認知症の前段階なのか?!

それは違います。

年齢とともに脳が萎縮したり、物忘れが増えるのは当然です。

90歳以上の6~9割は認知症だと言われています。

MCIに関しては65歳以上の4人に1人と言われています。

ここで、ポイントになるのは

日常生活に支障をきたしているか、です。

90歳でも買い物に行ったり、炊事をしたり、友人と会って話したり。

認知症だったとしても、幸せな生活を送っているかたはいますよね?

段取りがうまくできない、予定をわすれてしまう、今までできていたことができなくなってしまう。

生活の支障となる症状が増えて来た場合は、一度検査したほうがいいでしょう。

しかし、MCIと認知症を見極めるのは認知症の専門医でも難しいと言われています。

では、認知症の発症を予防するには?

または、MCIの進行を遅らせるには?

つづく・・・

加齢による物忘れと認知症の違い

最近物忘れが増えてきて・・・

私、認知症じゃないのかしら・・

こんな人の話を聞いたことありませんか?

誰しも年齢を追うごとに、認知機能が低下し、物忘れが増えてくることは生理的な現象と言えます。

加齢による物忘れのは「新しいことを覚えることができるが、思い出せない。」ことが多く、

逆に認知症の場合は、「新しいことが覚えられない、出来事自体を忘れてしまう。」という特徴があります。

例えば、「2ヶ月前に孫と会って食事をした」という出来事があった場合。

加齢による物忘れであれば、孫と会ったことは覚えているが食事の内容を思い出せない。

認知症の場合は、孫と会ったこと自体を忘れてしまう。

といった具合です。

「私、認知症じゃないかしら」というのは、忘れてしまったことを自覚しているため

認知症とは言えません。

記憶障害以外にも、実行機能障害(炊事、家事、計画を段取りよくできない)

失語・失認(言葉、名前、場所をわすれてしまう)などの症状があり、

日常生活に支障をきたしている場合は認知症が疑われます。

つづく・・・

[]

消毒方法について

鍼灸院では、消毒、滅菌が必要な医療器具がいくつかあります。

消毒、滅菌方法は、実は各治療院でやりかたが違い、統一されていません。

そこで正しい、消毒、滅菌方法を知るために消毒薬使用ガイドラインや

エビデンスに基づいた消毒方法を参考にして、もう一度治療院の衛生管理方法を見直そうと思います。

以下はエビデンスに基づいた正しい消毒方法を学べるサイトです。

鍼灸師や医療職種の方はご活用ください。

http://www.yoshida-pharm.com/category/countermeasure/texts/

http://www.tohoku-icnet.ac/news/files/post_151002.pdf#search=%27消毒ガイドライン%27

認知症?うつ病?

認知症に間違われやすい疾患として、うつ病があります。

高齢者のうつ病の原因は、主に身体機能障害(疼痛、筋力低下、移動能力の低下、寝たきり)や

社会性の低下(配偶者を亡くす、独居、外出困難)によるストレスで起こる場合が多く、

症状としては、意欲の減退(アパシー)や記憶力の低下など、認知症と同じような症状がみられます。

高齢者うつ病の場合は、抑うつ気分が強く、物忘れの訴えが強いことが特徴です。

認知症では、記憶力の低下を認めようとしなかったり、はぐらかすといった特徴がありますが、

うつ病の場合は、「わからない」と繰り返すことが多いと言われています。

つづく・・・

お彼岸

昨日(3/21)は、春分の日でした。

今はちょうどお彼岸の時期ですので、お墓参りに行かれたかたも多いかと思います。

お彼岸はもともと仏教用語で、ご先祖様がいる世界を「彼岸」といいます。

また、今わたしたちのいる世界を「此岸」といい、「彼岸」は西に位置して、

「此岸」は東に位置すると言われています。

春分の日の前後は、太陽が真東から真西に沈むため、

「彼岸」と「此岸」が最も通じやすい日ということで

この時期に、ご先祖様にお参りする風習がついたそうです。

お彼岸にはおはぎを食べますが、小豆には「邪気を払う効果」があるといわれています。

この時期に小豆を食べることや、ご先祖様に感謝することは、

自然への祈りや感謝とも深く関わっています。

また、あずきにはビタミンB1、カリウム、食物繊維などが含まれるため

利尿作用、排便促進、血栓予防などの効果があります。

仏教や東洋医学の考えを生活に取り入れる風習はいまも残っています。

昔の人々の知恵や経験は大切にしたいですね。