ケニア渡航日記 -障がい児と家族のための総合ケア-

 
そろそろ渡航日記も終盤になりました。
 
9/21
 

 
スラムを抜けると、レンガ造りのきれいな建物が見えてきました。
 
「The Garden of Siloam」は、障がい児と家族の包括的・総合的なケアを行う施設です。
 
この施設に通っている87人の子供たちは、脳性麻痺、交通事故後遺症、てんかんなど
 
それぞれ障がいを抱えながら生活を送っています。
 
 

 
 
この施設をつくった公文和子先生のお話を聴くことができました。
 
 
彼らが障害を持って生まれてくるのは、ケニアの様々な情勢が影響しています。
 
正常分娩が行えたとしても、新生児のケアが適切にされないために
 
脳性麻痺などの後遺症が残ってしまうことがあるそうです。
 
また、日本のような療育制度が進んでいないため、障がい児の治療をしたり
 
適切なリハビリテーションをうけることが出来ない現状があるとを知りました。
 
 
この施設では、発達別にクラス分けされていて、それぞれの能力にあったリハビリテーションが受けられるようになっています。
 
お母さん同士のグループセラピーや、親子で参加する運動会などのイベントも開催しているそうです。
 
障害は、「出来ない」ではなく「違った形でできるようにする」こと。
 
という公文先生の言葉が印象的でした。
 

 
障がいを持った子供が、他者から受け入れられること。
 
親同士がお互いに支え合い、認め合うこと。
 
 
このような互助によるコミュニティーは、まさに日本が「地域包括ケアシステム」のなかで
 
構築しようとしている社会のあり方です。
 
社会保障制度の整っている日本とケニアを比べることは出来ませんが、
 
「The Garden of Siloam」で実践されている活動は、
 
これから日本の目指すべき「最強の地域医療」といえるのではないでしょうか。
 

ケニア渡航日記 -HIV陽性の子どもたちを支える学校-

9/21
 
私達は、4日間の医療キャンプを終え「カボンド」という村にある、
 
HIV陽性や障がいを持つ子どもたちの小さな学校を訪問しました。
 
 

 
 
この学校は日本の保育園〜小学校にあたる施設で、50人ほどの子供たちが通っています。
 
なぜ、HIV陽性の子どもたちの集団があるのか?
 
それは、生まれたときからすでにHIV陽性を持ってしまった子どもたちは、
 
周囲のまちがった偏見や差別により十分な教育がうけられないからです。
 
 
しかし、実際に学校に行ってみると、そこには子どもたちの可愛い笑顔と
 
素敵なダンスが僕たちを歓迎してくれました。
 

 
 
校舎は、土で塗り固められた壁と、簡単なトタンの屋根で中にライトはありませんでしたが、
 
太陽の光が差し込んだ教室内は、子供たちの学びに対する意欲と喜びに溢れているように感じました。
 

   

 
 
彼らは、日本では捨ててしまうようなメモ帳を大切に授業ノートとして使っていました。
 
紙きれ一枚の大切さは、きっとここに来て初めて理解したように思います。
 
 

 
 
環境が整っている日本の教育と比べるのはそもそも間違っているかもしれませんが、
 
自分に与えられた環境や、ものに感謝して生きることの大切さを改めて感じました。

ケニア渡航日記 -村人たちへの鍼灸治療-

鍼灸治療は、現地の村人たちには連日大反響(?)で、
 
待合にあふれるほど列をつくって、鍼灸の順番待ちをしていました。
 
 

 
 
日本語が通じない海外での施術は、私自身始めての経験でした。
 
通訳はいるものの、英語は中学2年生レベルなので単語でのやりとりがやっと・・・汗
 
学生の頃、初めて臨床の現場にでたときの“緊張感”や、
 
普段の治療院では感じない“焦り”がじわじわ出てきて、初心が思い出されました。
 
 
最終的に4日間通して、全患者数は874名、鍼灸受療者数は367名でした。
 
来院された約40%の患者さんが鍼灸治療を受けたことになります。
 
 
運動器系愁訴が圧倒的に多く、現在集計中ですがおそらく60~70%近くは、
 
中〜高齢女性の腰痛が占めていると思われます。
 
ヘルスセンターの周囲は農業で生計をたてているところがほとんどで、
 
広大な畑を耕すのも一苦労。
 
腰、膝などの関節の負担がとても大きいのでしょう。
 
中には、関節リウマチが進行して、骨が変形している方もいました。
 
 

 
 
短い治療時間の中で、「こんな治療でいいのか?」と思うことはたくさんありましたが、
 
施術後、笑顔で「Asante」と言ってくれたときは、本当に安心しました。
 
「Asante」は「ありがとう」という意味。
 
我々のチーム「アサンテナゴヤ」の由来です。
 

 
ボランティアのベロニカには、通訳、患者の誘導、問診など大変助けられました。
 
 
つづく・・・

ケニア渡航日記 -僻地 ゲム・イースト村に到着-

9/16〜9/19
 
いよいよ、今日からゲム・イースト村での医療活動が開始。
 
私達が活動するゲム村は、ホテルのある「キシイ」から約10km内陸へ進んだ、
 
ビクトリア湖という湖の奥地にあります。
 
デコボコの赤土のうえをバスに揺られること約30分。
 
「セントテレサ アサンテナゴヤヘルスセンター」に到着。
 

 

 
 
ここでの我々の活動内容は主に、
 
1.HIV,梅毒,マラリアの検査・治療を実施する(看護師、薬剤師が常駐しています)
 
2.通常の外来診療(皮膚科、小児科、内科の専門医の先生が診療にあたります)
 
3.鍼灸治療(鍼灸師3名で診療にあたります)
 
これらのすべては、無料で提供されます。
 
診療の流れは、①受付 ②医師の診察 ③検査 ④投薬 の順番で進みます。
 
医師により鍼灸治療が必要と判断された患者は、鍼灸師へ紹介されます。
 
 
私達の仕事をサポートしてくれるのは現地のRUNELDというNGO団体です。
 
RUNELDが集めたボランティアの方々が、通訳や患者の案内をしてくれます。
 
彼らには、本当にいろいろな場面で助けてもらいました。
 
 
すでに、朝8:00から待合には大勢の人。
 
忙しい、4日間のスタートです。
 
 

 
つづく・・・

ケニア渡航日記 -ナイロビからの大移動-

9/15 ナイロビからの大移動
 

 
 
我々アサンテナゴヤの活動地は、首都ナイロビから約300km先の
 
「ゲムイースト村」というところにあります。
 
この日は移動日のため、朝から出発して、半日かけてホテルのある
 
「キシイ」というところまで大移動します。
 
 
 

 
 
途中、休憩所に立ち寄りケニアのサバンナを一望することができました。
 
どうやら“SNS映え”スポットらしく、多くの外国人客が写真撮影していました。
 

       

 
 
道中は、広大なトウモロコシ畑やサトウキビ畑が広がり、
 
そのスケールの大きさを前に「あーケニアに来たなぁ」と改めて実感が湧いてきました。
 

 
 
去年は、バスのトラブルや、道中の教会で火事があったりとハプニングが多かったようですが
 
今回は、安全にキシイのホテルまで到着することができました
 
 
キシイは病院、ショッピングモール、市場などがあり、人と車で溢れかえっていました。
 
また、ケニアは左側通行なので国産車が多く、特にトヨタ車は耐久性に優れているので最も人気があるとのことです。
 
 

    

 
宿泊したホテルは意外(!?)ときれいで、とても快適でした。
 

 
 
いよいよ、明日は農村地域の「ゲム村」へ!
 

ケニア渡航日記 -メンバーとの出会いとアフリカ上陸-

お久しぶりです。
 
10日間のケニア渡航を終え、無事に日本へ帰国しました。
 
僕は、ケニアで奇跡のような10日間を過ごしました。
 
様々な人と出会い、ケニアの貧困や医療の現状を目の当たりにして、
 
自分が、今ここに生きていることの価値観が大きく変わりました。
 
現地の農村地区や医療施設で見て感じたことを
 
少しずつ書いていこうと思います。
 
アサンテナゴヤについて
http://asante-nagoya.com
 
 
 

 
9/13
中部国際空港で、アサンテナゴヤのメンバーと初顔合わせ。
 
メンバーは、医師、看護師、薬剤師、医学生など様々。
 
お見送りの石川先生を含め、皆さん温かく迎え入れて頂きました。
 
空港では、支援物資(医療機器、子供服や靴、文房具など)をそれぞれ分担してスーツケースに詰め込みます。
 
重量30kgギリギリまで詰め込み、いざ出発!
 
 
中部→北京経由→アブダビ(トランジット)を経て
 
合計16時間の長旅の末、ナイロビに上陸!
 
 
 

 
ナイロビ空港の到着ロビーは、プレハブで殺風景な雰囲気。
 
なんとロビーは、以前火事があったらしく現在改装(?)しているとのこと。
 
 
 
荷物検査では、現地の検査官にあれこれ質問をされて、足止め喰らいました。
 
毎年恒例のようです。笑
 
ケニアは、赤道直下ですが、標高が高く日中もそれほど気温が上がらないため、
 
とてもカラッとしていて過ごしやすい環境でした。
 
 
 

 
 
その日は、ナイロビのホテルに宿泊し、明日からの医療活動に備えます。
 
 
 
つづく・・・

アフリカへ行ってきます

直線距離 約11,000km
首都ナイロビまで17時間!遠すぎます!笑
 
 
以前、アサンテナゴヤというNPO法人のボランティア活動について紹介しました。
 
アサンテナゴヤについて
https://ameblo.jp/n-harikyu/entry-12510995532.html
 
僕は、このアサンテナゴヤのメンバーとして、
 
9/13~9/23の10日間、ケニア奥地のゲムという農村地域で、医療活動に参加してきます。
 
活動内容は、現地の方たちに鍼灸治療を行うことが中心です。
 
医療活動以外にも、障がい児の支援施設やケニアの病院見学なども予定されています。
 
 
人種、言語、宗教、生活環境もすべてが違う日本の裏側で、
 
自分がどんなことを感じるのか、今は想像もできません。
 
 
鍼灸師として(ひとりの人間として?)なにができるのでしょうか!?
 
そして、生きて帰還できるのか?!笑
 
 
報告を乞うご期待!
 
 
僕がお休みの間、ブログは院長がきまぐれに更新する予定です。
 
 

eBIM研究会に参加

昨日は、大阪で開催された「エビデンスに基づく統合医療研究会 eBIM研究会」に参加しました。この研究会には、今年で3回目の参加。僕のとてもお世話になった大学の教授が、研究会のメンバーなので毎回お声を掛けて頂いています。この研究会は、科学的根拠に基づいた統合医療(西洋医学と東洋医学などの補完代替療法を併用すること)を発展させるために発足した会です。最先端のAIやICTを用いた医療から、ヨガ、アロマセラピー、鍼灸などの補完代替医療が一同に介する全国でも数少ない学会のひとつです。今回もポスター発表をさせて頂きました。僕が大学で取り組んでいた、間質性肺炎の患者に対する鍼とリハビリを併用した1症例を報告しました。毎回この研究会では、鍼灸に興味のある医師や看護師、セラピストの方から積極的に質問を頂きます。「鍼灸ってどんな疾患に有効ですか?」「どれぐらい改善するんですか?」「ツボってなんですか?」などなど、色々と疑問を頂きます。質問に対する答えかたは、毎回とても気を遣います(汗そこで発言する言葉次第で、鍼灸に対するイメージや印象が大きく変わるからです。東洋医学的な考えをもとに治療していたとしても、医療従事者には分かりやすく、専門用語を控えてコミュニケーションを心がけています。毎回、色々な職種から刺激を受けて、自分のモチベーションにつながるので、僕は学会大好きです(笑)ちなみに来週は、ケニアへボランティアへ行ってきます。不安も多いですが、いい「土産話」ができたらと思います!

高齢者の咳・嗄声の症例

福岡の鶴舞公園の蓮今日は、咳と嗄声(かすれ声)に鍼治療が著効した症例を紹介します。症例 90代 女性既往歴 高血圧症 現病歴 今年の8月頃から咳と痰が徐々に増える。来院の前日、声がかすれて出なくなる。内科、耳鼻科で胸部レントゲン、内視鏡検査で異常なし、内服薬を服薬するも症状不変。時々痰の絡んだ咳が出る以外は何も自覚症状はない。痰は喀出しにくく、色はやや黄色現症 体温36.5℃ 血圧130/60 SpO2 97%呼吸音 左上肺野にロンカイ(+) 心雑音なし、浮腫なし咽頭の動きは正常、発赤なしロンカイは太い気管支が、痰などの分泌物で狭窄しているとに聴取される異常な呼吸音のこと。体表観察では、舌が紅、肺尖に邪、肺兪に虚、尺沢に熱感など。現代医学的病態把握 上気道炎、気管支炎の疑い東洋医学的病態把握 肺陰虚、湿痰治療 列欠、豊隆、肺兪に鍼を10分経過 2日後、来院したときには嗄声は完全に消失、咳や痰も落ち着く。左の肺に聞こえていた、ロンカイも減少した。この症例についてまず、年齢が90歳であることから、必ず肺炎を除外しなければいけません。しかしこの方は、咳と痰、嗄声以外に全く症状がなく、レントゲンでも異常がないことから上気道や気管支の炎症が原因と思われました。東洋医学的には8月頃から症状が出ていることから、暑湿の邪が肺を犯し、咳や痰を発症したと思われます。また、よく問診をすると辛いものが大好きで唐辛子をよく食べるという。肺で生まれた熱が、香辛料によってさらに助長されて、肺の陰を損傷したと考えました。(イメージ的には、肺の熱により気道の水分がからからに乾いてしまった状態、喀出しにくい痰や、乾いたカラカラの声がその証拠です。)列欠と豊隆は、どちらも絡穴なので、表裏の脾や大腸にも効くのが特徴。脾胃を調節しながら、肺の陰を補ったのが、著効に繋がりました。しかし、90代にして既往歴は高血圧のみ、辛いもの大好きで活動的!素晴らしい!いつまでも、元気で楽しく生きていけるよう、東洋医学の知恵を活かして、この患者さんの健康を支えていけたらと思います!

プロフェッショナルへの道のり!!?

 
長岡治療院では院内勉強会を、毎週水曜日の診療終了後
 
21:00〜22:00まで行っています。
 
今日は、新患さんの症例検討会をスタッフ全員でしました。
 
 
症例検討会の目的は、
 
1.患者さんによりよい最善の治療を提供するため
 
2.第三者に情報を伝えるプレゼンテーションの能力を鍛える
 
3.症例を振り返ることで、自身の課題や気付きが生まれる
 
 
我々治療家は、常に「ほんとうにこれでいいのか?」「もっといい選択肢があったのでは?」
 
と考えて、よりよい治療を患者さんに提供しています。
 
 
そう、これこそまさに「プロフェッショナル〜仕事の流儀〜」です(笑)
 
 
自分のなかで葛藤していると、段々視野が狭くなりがちです。
 
この症例検討会では、スタッフから実にいろんな意見が出るので
 
「あ、そういう考えもあったのか!」「その選択肢はいいかもしれない!」
 
毎回、新たな発見があります。
 
 
毎週水曜日、疲れた体にムチを打ち(笑)
 
「すべては患者さんのために」
 
これこそ、プロフェッショナルへの第一歩・・・!?