がん支持療法としての鍼灸

がん治療は患者さんの身体と心に多大な負担をもたらします。

そのため、症状の緩和や生活の質(QOL)を向上させるための治療としてがん支持療法が重要です。

がん支持療法とは、病気そのものの治療ではなく、副作用や症状の軽減、心身のケアを目的とした治療やケアのこと。

鍼灸は、このがん支持療法の一環として注目されています。

鍼灸治療が支持療法として有効な理由

鍼灸治療は、さまざまながんの症状や治療の副作用を緩和するために役立ちます。以下の症状に対するエビデンスが示されています。

  • 化学療法による末梢神経障害(しびれ)
    化学療法後に多くの患者が経験する手足のしびれは、日常生活に支障をきたすことがあります。鍼灸はこれらの神経症状を軽減することが研究で示されています。
  • 吐き気や嘔吐
    鍼灸は、化学療法や放射線療法による吐き気や嘔吐を緩和する効果が報告されています。
  • がんによる痛み
    がんが進行することで生じる痛みを和らげ、患者さんの生活の質を向上させることができます。
  • 精神的ストレスや不眠
    鍼灸にはリラクゼーション効果があり、不安感やストレスを軽減し、睡眠の質を向上させることが期待されています。

当院の取り組み

当院では、35年以上の治療経験をもとに、がん患者さんの症例を多く積み重ねてきました。

治療方針としては、標準治療との併用を強く推薦しています。

標準治療をベースに、鍼灸治療を取り入れることで、症状の緩和やQOL向上を目指します。

また、患者さん一人ひとりに適した治療を提供するため、初回の問診には1時間ほど時間をかけて丁寧に行っています

これまでの病歴や治療内容、現在の症状を詳しく伺い、最適な治療計画を提案します。

ご相談ください

がん治療に伴う副作用や症状の緩和にお悩みの方、またがんそのものによる痛みや精神的な負担でお困りの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。

鍼灸治療を通じて、少しでも患者さんの心と身体が楽になるようお手伝いさせていただきます。
あなたのQOL向上を全力でサポートします。

「自分らしさ」ってなんだろう:輪読会をやりました

先日、同朋大学で行われた磯野真穂さんの講演会に参加してきました。

テーマは「自分らしさ」。

平成以降、この言葉は私たちの日常に溢れるようになり、聞き慣れたフレーズになっています。

しかし、それが一体何を意味するのか、私たちはどれだけ理解しているのでしょうか。

磯野さんの著書『他者と生きる』では、「日本人には“個”が根づきにくい」という興味深い視点が示されています。

この考え方に触れたとき、「自分らしさ」についてみんなと一緒に考えたいと思い、スタッフと輪読会を開くことにしました。

正直、この本はとても難解です。

一人で読むには少しハードルが高い部分もありましたが、輪読会ではみんなで読み合い、「これってどういうことだろう?」と意見を交わすことができました。

特に「自分らしいってどういう意味なんだろう?」という問いには、様々な視点からの意見が飛び交い、大いに盛り上がりました。

もちろん、これに「答え」が出るわけではありません。

でも、他者との関わり方や自分自身について深く考える時間を持つことで、自分の世界観が広がった気がします。

それは一人で本を読むだけでは得られない、貴重な経験だと思います。

「自分らしさ」という言葉に少し疲れを感じるとき、あるいは迷ったとき、誰かと一緒に考える機会を持つことで新しい発見があるかもしれません。

磯野さんの言葉を借りれば、私たちは「他者と生きる」存在ですから、そのプロセスこそが大切なのではないかと思います。

皆さんにとっての「自分らしさ」とは何ですか?ぜひ考えてみてください