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鍼灸中心の統合医療

大阪大学で立ち上がったエビデンスに基づく統合医療研究会や

プライマリ・ケア連合学会の中にも、鍼灸の勉強会が立ち上がっており

医師の鍼灸への関心は益々高まってきている

和漢が医師国家試験に出題されるまでになったように

鍼灸やその背景となる東洋医学の考え方を医師が知ることは、必然的になるはず

名古屋大学医学部附属病院総合診療科外来における

研究への協力依頼が愛知県鍼灸専門師会にあった

(以下名大病院からの依頼内容の要約)

上記のような流れの中で、統合医療チームにおいては

鍼灸師に是非とも中心となっていただく必要がある

倫理審査委員会に具体的な研究協力者名を提出することが必要となり

名古屋市内の鍼灸師から、どなたかをご推薦いただけないでしょうか。

異なる体系にたつ療法を否定しないオープンな考えをもち、

筋骨格系以外の症状に対しても対応することができる

伝統的な鍼灸の考え方を大事にしている方が希望です。

ようやく名古屋でも統合医療チームに鍼灸師が関わる時代が来た

しかも鍼灸師が中心となって統合医療の研究を進めたいというのだ

2年前に始まった「鍼灸漢方を柱とした新しい日本型医療の創生の研究」が

名古屋で動き始めたことを実感する

運動と食養生

皆健康になりたいと思い鍼治療を受ける

主訴の軽減は勿論

何故あなたは健康でなかったのかを知ること、気付くことが必要

素人判断やマスコミの情報に振り回されたりすることは論外

あなたは何故病気になったのか

職場や、家庭、人間関係のストレス

不規則な睡眠

不規則な食生活

飲食の偏りや過不足

働き過ぎによる過労

不適切な運動(健康のためと思って始めた運動)

運動不足・・・・

これらは皆患者さん自身の問題であるので

個々にアドバイスをするが

すんなり聞き入れていただける場合が多いが

様々な制約で改善ができないケースが問題だ

病の根本が解決できなければ再発もあるので

患者さん自身で生活の改善に本気で取り組むか否かで

予後も変わってくる

大暑

明日は二四節気では大暑

暑さが最も厳しくなるというが

偏西風の蛇行で低温が二日続き

先日の猛暑からの急変に身体がもたず

所謂夏バテを訴える患者さんが多い

脾虚の素体がある人は飲食不節に注意

休養や睡眠を十分とり

規則正しい生活を心がけたい

小暑

今日は二四節気の”小暑”

この日から暑気に入り、暑中見舞いも出されるようになり

暑さは日増しに加わってくる

しかし梅雨前線は南に下がっており

梅雨明けはまだまだ先のようだ

蓮の花が咲き始め、鷹の子が巣立ちの準備を始める

夏を乗り切る食べ物の工夫

一般に、春風・夏火・長夏湿・秋燥・冬寒といわれ

季節の変化に合わせた体調のコントロールをしなけらばならない

夏は本来、温・燥作用の強いニラ、ネギ、唐辛子、ニンニク類を

控えるように言われる

ただ、近年は冷房による冷えが夏の新たな脅威になっており

昔とは事情が違ってきている

しかし、夏場は総じて脾の働きが弱ってくるため

あっさりした薄味で消化の良いものをこのんで食すること

トマトやキュウリ、セロリ、トウガン、等がその代表だが

冷蔵庫で冷えたものをそのまま食べ過ぎると逆に脾が弱るので

常温のものが望ましい

個人の住生活の状態に合わせた食生活の工夫が必要になる

漢方薬の副作用その2

最近漢方薬の副作用と思われる症例が多い

原因不明の蕁麻疹70代♂

長年喘息予防の煎じ薬を内服

鍼治療で半分以上は軽減したが

本人の意思で漢方薬を中止して1週間

ほとんど蕁麻疹が消えた

アトピー性皮膚炎・喘息40代♀

ツムラのエキス剤を3種内服中

これも鍼治療に抵抗するので

一時中止してからアトピーの痒みが明らかに軽減

内熱も消失

急な眩暈40代♀

ツムラのあるエキス剤を内服

虚証の体質に対して、内風という実邪を抑える某漢方薬を内服

虚証の患者さんには強すぎた結果、内風がおきて眩暈となった

漢方薬を中止して眩暈は消失

最近保険調剤の漢方薬(エキス剤)が多く処方されるようになったが

西洋医学の薬と併用が多く

副作用か否かの鑑別が治療上で必要となってくる

血虚その2

血虚は関連する病位や臓腑の病態を弁別する必要がある

上昇の血虚:眩暈・目がかすむ・顔面蒼白

心血虚:不眠・健忘・動悸・不安感

肝血虚:爪の色が淡い・爪が硬くなったり、変形する・目が乾く・視力の減退

衝脈・任脈の血虚:月経遅延・生理血が薄く量が少ない・月経困難

経脈・筋肉がひきつる・手足の麻痺やしびれ・関節の障害

血虚は上記のように分類し経穴を選別する

一般に女性や痩せた人に多いが問診と体表観察を正確にすれば鑑別は難しくない

血虚とは

血(けつ)は人体の各臓腑・組織・器官を濡養(栄養)している

血は心が主り、肝に貯蔵され、脾がこれを統摂することによって

脈管中を巡行している

血虚とは

血のもつ濡養(栄養・滋潤)作用の不足のことである

原因は脾胃の機能低下により飲食から生成される血の成分の不足

出血に伴う血の量の不足、循環不全(お血)による血の供給不足

主症状

顔色が悪い、皮膚につやがない、唇の荒れ、爪がもろい、目がかすむ、

目が乾く、目がくらむ、頭がぼーとする、ふらつく、動悸、筋肉の痙攣、

多彩な症状を招くので注意が必要

血液検査で貧血がなくとも”血虚”はありうる

診断のポイントは

眼瞼結膜の色・舌色が淡白、舌苔が覆っている場合には舌腹の色が淡白

爪の色が白っぽいか、爪を指で押して色の戻りが遅い、気色診で白等

治法は補血で、血海、三陰交、膈兪、等の反応を調べ補法を施す

気滞とは

人体をくまなく巡行するエネルギーとしての”気”

流れが停滞することを”気滞”という

精神的ストレスが原因では”肝鬱気滞”という

ゆううつ感、怒り易い、イライラする、胸脇部の張った痛み

女性では月経痛、月経周期の乱れ、乳房の張りを伴う

”肝鬱気滞”が長引くと”肝鬱化火”といい

頭痛、のぼせ、口苦、胸やけ、耳鳴り、難聴、眩暈、不眠、喉の詰りなど

上焦(上半身)の様々な不定愁訴の原因となる

鍼治療は非常に有効で、速効性がある

”気”は停滞しても慢性化していなければ

ツボに鍼を打つことで速やかに滞りが改善する

一本の鍼で一瞬で痛みが取れることはよく経験する

気虚その2

気虚には五臓の気虚に分類される

肺気虚:呼吸が浅い息切れ、声に力がない、汗かきが顕著で、咳嗽・痰がある

心気虚:動悸・息切れ・胸ぐるしい・不安

脾胃気虚:疲れやすい・四肢がだるい・食欲不振・消化不良・腹が張る
     便秘又は泥状便

腎気虚:頭がふらつく・知力減退・眩暈・耳鳴り・腰や膝に力が入らない
    精力減退・多尿・排尿困難

気虚の多くはこのように分類される