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正しい舌診の為に

2年間通院している患者さん

いつもの舌の色は淡紅色、舌苔は薄白苔、舌腹も淡紅色、舌下静脈怒張なし

よく聞くと毎食後に歯磨きと舌苔を歯ブラシで掃除をしているとのこと

今日はいつもより微黄色の苔が厚い

昼食抜きでみえたので、食後の歯磨きと苔の掃除をしていなかったとのこと

「湿痰「¥」の影響を考慮して治療をすると

治療後に舌苔は薄くなった

初診の予約のお電話では

舌の状態を拝見するので

色のつく飲食はしないようにという注意とともに

舌苔を歯磨きなどで取らないようにというお願いをすることを

スタッフ全員で共有することが必要であると感じた

脱水症のリスクを舌で診る

めったにTVの健康番組は見ないが

昨日TVで脱水症になりやすい人を

舌診で見分ける方法を医師が解説していた

米国での研究で多くの人の舌を観察した結果

裂紋(舌のひび割れ)ができると脱水症のリスクが高いという

東洋医学の診たてでは

①裂紋と舌表面の乾燥がある

②舌苔があって乾燥している(燥苔)

③紅色がきつく、かつ光滑舌

等々に分類しかつ重症度も判別できる

舌の色、苔のあるなし、苔の色、乾燥、裂紋の有無

多くの情報で判断し、患者さんには個々に

水分摂取が適切か否かを指導している

医師が舌診に着目したことは意義深いが

全ての米軍キャンプの兵士の健康管理に

鍼治療を取り入れている米国らしい研究

飲食不節の舌の変化

上は治療前 舌は治療後

20代男性

主訴:胃の不快感・体がだるい・頭重感

弁証:湿困脾土(冷飲によって胃腸の機能低下し体に湿邪が停滞して状態)

処置:左内関に15分置鍼

効果判定:舌の変化が著明で、処置後は空腹感が出てきた

肌の色も良くなり上の写真での変化は一目瞭然

患者さんもおおいに驚く

ビールの飲みすぎで湿邪が停滞して主訴に至ったので

冷飲過多の養生は欠かせないが

治療直後の変化は著しく、肝鬱気滞も大きく影響していると考える

舌診による瘀血

ある患者さんの舌背

主訴:顔面の痙攣と頸肩部の慢性的な痛み

弁証:肝鬱化火・瘀血証

舌辺の暗紅色が顕著

原因は食生活の乱れ

駆瘀血の処置とともに

食養生の指導をした

このまま放置していると

循環器疾患のリスクが高いことも付け加えた

続いて今夜は院内勉強会

今日の7人の新患さんのカンファレンスと

問診のトレーニングを2班に分かれて行う予定

類剥苔の症例

25歳♀

主訴:精神的な疲労・舌苔のはげ

仕事のストレスによって、精神的に疲れ舌の苔が剥げる

類剥苔とは舌苔の剥落が部分的で

地図状に苔が剥落した剥落部分が、変化することで

化源不足によって気血の補給が断続したり、不均等になる

「気血不統」によっておきる

弁証:肝鬱気滞による気血不統

処置:右後谿 左肝兪に10分置鍼

経過:2回の処置で舌苔の剥げは消失、メンタル的な疲れも気にならなくなる

考察:肝気の巡りが改善し苔の新生が認められた

写真の上は第1診目、下は第3診目

お血による舌の変化

60代♂

主訴:背部痛

西洋医学による診断:肋間神経痛

東洋医学による弁証:気滞血お・右後気の偏在

処置:右天枢

治療直後に舌下静脈の怒張と暗紅色が著しく改善

上の写真は治療前と直後の状態

まだお班(皮下出血の痕)は残るが

主訴は緩和した

お血による頚肩部痛

数年前から続く慢性的な頚肩部痛

常に自覚する自発痛でロキソニン内服で無効

四診合参し弁証は”気滞血お”

舌下静脈の腫れと暗紅色が

治療後に見事に消失していることが解る

自覚症状も消失

慢性疾患なので経過観察が必要であるが

舌診は客観的評価ができるのでEBMにも有用だ

舌の表裏

上の写真は”寒”

舌の写真は”熱”

患者さんが寒いと言っても

舌の色が赤ければ身体は”熱”なので

”清熱”の処置が必要

舌の表面が白い苔で覆われていても

舌の裏の色が赤ければ”熱”である

寒熱(陰陽)の偏りの判別に舌診は欠かせない診断法である

舌診講義

12月4日に小牧市で「舌診」の講義を依頼された

鍼灸師や、鍼灸学校の学生が聴講生

できるだけわかり易く平易に

かつ眠くならないような講義を期待されている

専門用語を使いすぎてもダメ

鍼灸師で「舌診」をしているひとは一握り

中医学では四診の中でも脈診と並び

最も重要な診察法にもかかわらず、である

インパクトを与え興味を持ち、勉強を始めるきっかけをつくる講義

いろいろ思案中であるが、準備は怠りないように今日から始めている

お血症の舌の変化

70代♀

主訴:慢性の頚部痛・頭重感

舌診:舌裏静脈の怒張が強く色も暗紅色

弁証:気滞血お

処置:左三陰交

効果判定:治療直後に舌裏静脈の改善が認められる

※舌の変化は写真で記録しすぐにプリントし、患者さんにお見せできる
 
 治療効果の判断が画像で可能なのは舌と皮膚の変化では普遍性がある

1枚目は治療前

2枚目は治療直後