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舌苔の著明な変化

1回の鍼治療で得られた著明な舌苔の変化

60代♀

主訴:頚部痛・腰痛・耳鳴り・胃の不調

脈診:緊細

舌診:淡紅色、舌苔は乾燥し厚黄苔、右舌根部に直径1㎝の剥離

弁証:肝鬱気滞・湿困脾土

処置:右天枢 右胃兪

効果:治療後頚椎の運動痛消失

翌日2診目来院時の舌は見事に舌苔が薄白苔に好転

胃の自覚症状は消失した

上の写真は 1枚目が初診 2枚目が2診

苔の状態の著明な変化が認められる

肝胆の熱の偏り

平成元年の開業当時から調子が悪くなると飛び込んでみえる患者さん

私が毎回舌の状態を診るので、御自分でも毎日鏡で舌を診ているという

2日前からいつもと舌の状態がおかしいと氣づき、私に診てもらいたいということで来院

舌診では、左の側面(肝胆)の苔が剥げて、舌体の色が紅色のややきつい状態が明らかになっている

2日後に頭のMRI検査を予約しているとのこと

自覚症状は、顕著にないが、左の頚肩部のコリ程度

左側の赤みがきついが、皮下出血(お斑)は認められず

循環器系の発作的な病気の兆候はみられないことを伝え

肝胆鬱熱と診たて

百会の左に置鍼10分、右肝兪に置鍼10分、左風池に刺絡(暗紅色の出血)

治療後に舌の状態は改善、舌色が淡紅色に、舌苔の剥げも境界線が不明瞭に変化

患者さんにも写真で確認していただき、安心された様子

上の写真が治療前・下の写真が治療後

舌苔が薄くなって、向かって右側の苔の剥げの境界線が不明瞭になった変化がよくわかると思う

先日知人の鍼灸師に舌診の話をしたら、鍼治療で舌の状態が変化することに驚かれ、

驚く彼の反応に私は唖然とした(鍼を打つのに舌も診てなかったのか・・・)

舌診その6

陰虚内熱の舌

舌全体の色調が紅舌、紅絳舌(赤みがきつい)で

無苔になり、裂紋(ひび割れ)が見られる場合

陰液を消耗して、陰虚内熱または陰虚火旺という内熱をこもらせた状態である

中医学で弁証すると腎陰虚症、肝腎陰虚症が多く見られる

頬部が紅潮し、手足がほてり、夜間の発汗(盗汗)不眠。頭痛等に悩まされる

鍼治療では「照海」とう経穴を使うとよいが、あくまで体表観察したうえで経穴は決めるべきだ

舌診その5

膩苔(じたい)の典型例

舌苔について

舌に生じる苔については、苔の厚さ、湿潤度、色調を診る

健康なヒトの舌は、色は淡紅色でごく薄い白苔がうっすらと覆っていて

形状も大きくも小さくもなく薄くも厚くもなく、舌裏も鮮やかな薄い紅色

健康な小児の舌が見本となる

舌苔でベタベタした湿った厚い苔は膩苔(じたい)といい湿邪が停滞した状態

色が白ければ「寒湿」、色が黄色ければ「湿熱」の鑑別ができる

水をたくさん飲みすぎた結果生じる場合もある

水分摂取の目安は、苔の状態を毎日自ら鏡で見ているとよくわかる

脾胃の機能が低下した結果生じたり、脂っこい食べ物を過食して生じることも多い

舌診その4

舌診その4

写真はお血の典型例

舌裏(舌腹)の診方

舌苔が厚く舌体の色調が見えない場合

舌裏の色調を診ることで寒熱の判断ができる

また舌裏の静脈(舌下静脈)の状態を診ることで

お血(血液の停滞)血虚(血が不足)の鑑別ができる

お血がきつい場合には舌裏全体、あるいは部分的にお班という

皮下出血のような出血痕が見られることもある

舌下静脈が太くはっきりしているが

白抜けしている場合は血虚お血という

舌裏の状態は特に循環器疾患に罹患するリスクの判断や

すでに罹患している場合治療経過の指標として非常に重要である

舌診その3

舌診その3

舌が腫れぼったく、ぼた餅のように口の幅いっぱいになるときがある

これを胖大(はんどん)舌という

水が停滞し舌体を満たすために生じる

”脾虚”(消化吸収の機能が低下)によって水分代謝が低下することが多い

舌の両側に“歯痕”という歯の痕が生じることもある

このうえに舌の苔がテカテカ光って潤いすぎる場合には”陽虚”といい

身体に停滞した水によって体の冷えがきつくなることが判る

このように舌の形態によっても様々な情報が得られるのである

http://n-acp.com

舌診その2

舌診その2

例えば風邪をひいて喉が痛い時には

多くは舌の先(舌尖)が赤くなる

身体の上焦に熱が存在することを表す

高熱になると舌尖がイチゴ状の赤い斑点が現われる

アトピー性皮膚炎で顔に赤い湿疹がある場合にも

舌尖が赤くなる

治療によって舌尖の赤みが薄くなってきたら

鍼の効果が確認できる

様々な病気の予後の推察ができるのである

続きはまた明日に

舌診についてその1

舌診についてその1

当院では治療の前に毎回”舌診”をする

舌で何が判るか?

舌の表側(舌背)で色調を診る

赤みが強ければ”熱”傾向

赤みが薄ければ”寒”或いは”血虚”傾向

舌の苔の状態も重要

苔が多く湿っていれば”湿邪”の停滞

苔が乾燥していれば”熱”を表す

苔の色では白ければ”寒”

色が薄黄色から濃くなるに従って”熱”傾向

要するに一言でいえば身体が冷えているのか

熱傾向なのかが一目で鑑別できる

”寒・熱”の鑑別として最も重要かつ正確に判定できるのである

続きは次回に

ストレスと舌診

ストレスと舌診

様々なストレスによって”気滞”が生じ

長引くと”気逆””肝陽上亢””肝火上炎”という

所謂「気が上に昇る」状態になる

ゆえに舌の尖が赤みをおびる

きつくなると、”紅刺”といいイチゴ状の赤い斑点が見られる

この写真はその典型的な舌で、全体の色調は紅色

舌尖はさらに紅色がきつく

舌尖全体に紅刺が見られる

ストレスフルの患者さんの舌である

治療による舌の変化は後日報告する

夏バテとは

                 夏バテしやすい舌の見本

そろそろ自称「夏バテ」患者さんが増えてきた

所謂「夏バテ」とは?

体がだるい、食欲がない・・・

夏バテは暑さにバテるから?

いやいや違います

ほとんどが、冷飲過多である(冷たい水分の摂取過剰)

高齢の方はともかく、熱中症予防には水分をしっかり取りましょう

という情報があふれている、

暑い日に外で動き発汗する・・当然喉が渇いて水分補給

この時に”冷たい”麦茶、アルカリイオン飲料等をごくごく飲む

しかし、繰り返していると胃腸が冷え、冷えた胃腸は活動が低下し

水分代謝が悪くなって、水の停滞がはじまる

虚症は”脾虚湿盛”

実証は”湿困脾土”という

診断の決め手は”舌の苔”

夏バテすると多くは舌の苔がべたべたして水分を含んだ

”じ苔”に変化する。苔の色は冷えているので白っぽくなる

このあたりで、体のだるさが始まる、水は重いので

下半身に停滞する、下腿のむくみにもつながる

今年は夏の前半が酷暑だったので、夏バテが早い

一言で水分摂取といってもどれだけ摂ればよいのか難しいが

東洋医学は便利である

舌の苔の状態を毎日観察することである

毎日見ていると苔の量や質、色の変化が素人でも判る様になる

上の写真は舌の中央にべたべたした苔が生えている

ご参考あれ