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≪素問≫の養生論その2

予防医学は病気の病因論の裏返しである

「素問」「霊枢」の病因論は天地の三才に基づく

1・天の変動、風雨寒暑である
  
  これに対する養生は、「之を避けるに時あり」である
  
  ことに夏の酷暑、冬の酷寒を避ける

  君子は固密にして賊風、虚邪を犯さない

2・飲食居処である
  
  すなわち、気候、風土に基づく衣食住を始めとする日常生活である

  地に対応する、ここでは節度と規律が求められる

3・陰陽喜怒である

  人事の葛藤に基づくストレス的病因である

  ここでの陰陽とは男女のことである

  喜怒は感情、情動の激発である

  情事には節制が求められ、情動には安定が求められる

以上のような養生論が2300年前に述べられたことには

驚くほかない、現代人の不摂生と変わらないのである

ゆえに古典の養生法も現代でも十分通用するのである

≪素問≫の養生論

≪黄帝内経≫素問に記述された養生の方法を記す

一般に養生論は予防医学より範囲が広い

単に肉体と精神の健全を保持することだけを目的としない

さらに深く人間存在の根源的意味を問い、その実現を求める

肉体、精神を越えた生命、「いのち」の実在を探求する

しかし、≪素問≫の養生論はそこまでは立ち入らない

第四章には全道、全神の語があるが、なお不老長寿、長生久視という

より多く肉体的生存を志向する傾向が強い

故に老荘学派の人々から「養生の徒」と罵られることになる

形とは肉体のことである

以下明日に続く

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四時陰陽

≪黄帝内経≫素問・四氣調神大論篇 第二 第四章 第一節より

季節は立夏を過ぎて小満に入り陽気盛んにして万物ようやく長じて満つという

しかしこの時期は天候によって太陽エネルギーの消長の波がおおきい

ゆえに寒暖の差が激しく、陰陽のアンバランスが起きやすい

2300年前の中国医学の原点である≪黄帝内経≫に陰陽の消長についての記述がある

四季における陰陽の消長によって万物は成長変化する

ゆえに、陰陽は万物の根底であり、本源である

季節の推移は太陽エネルギーの地上における消長によって起こる

陽は太陽エネルギーの隆盛をいう

陰は太陽エネルギーの消退をいう

これが陰陽の根本原則である

これより、自然における陰陽

生物における陰陽

人間における陰陽へと

陰陽の概念は発展していく

四季の陰陽の変化は人間の陰陽の変化に影響を与えると言っている

人体の陰陽

≪黄帝内経・素問≫生氣天論篇より

人体の陰陽

人には陰気(副交感神経相当)と陽気(交感神経相当)がある

【陰気】主として腹部内蔵においてエネルギー産生的に働く、すなわち同化作用を行う

【陽気】頭、四肢、体表部を巡回して、エネルギー消費的、異化作用を行う

    頭を使ったり体を動かしたりするという活動、発汗や震えによる寒暑への適応
   
    細菌などの襲撃に対する防衛などがその機能である

人体の陰陽のバランスがとれていれば健康で、アンバランスは未病の状態と言える

上熱下寒

上熱下寒とは

16日の夕方から寒気が入って気温が下がっている

春陽の亢進するこの季節に寒気が入ると

下焦(下半身)が冷え

相対的に上焦(上半身)に熱が昇る

これが上熱下寒の状態

舌尖が赤くなり、頭頂部の「百会」に熱を感じ、足関節から下は冷えている

血圧上昇、眩暈、耳鳴り、頭痛、不正出血、等々の症状が増えてくる

治法は 補腎・清熱瀉火が中心となる

足を冷やさないようにぬるめのお湯の腰湯でゆっくり温めること

イライラしないことが肝要である

食養生について

食養生について

立春を過ぎて日々陽気が高まってきているが

この時期に旬を迎える食べ物

竹の子、わらび、ゼンマイ、ふきのとう

これらの野菜はすべて陽気を高める作用がつ強い

したがって、多く食べ過ぎると気を上に昇らせる

何事もバランスを考えて食することが肝要である

左右整えの灸

左右整えの灸

体表の観察は面白い

ツボは全身に300以上あり

身体の正中線上のツボを除くと

全て左右対称に配置されている

この左右のツボをよく観察すると虚実、寒熱が明らかになる

左右の大きいツボの左右どちらかに鍼を打ち

お灸は左右交互にすえる

このお灸が左右同じ熱感を感じない場合

そのツボは非常によく効く

右の大腿部の知覚鈍麻で

長年熱いシャワーの熱を感じない

右足のしびれを訴える患者さん

腎兪に左右整えの灸をすえた

なんと初診時に27壮!(回)左右にお灸をすえて

ようやく左右の熱感が整ってきた

数回の治療で左右のお灸は9壮(回)で整うようになり

シャワーの熱を感じるようになった(一年ぶりのできごと)

右足のしびれもなくなった

このようにお灸の熱感の違いで

ツボの効果を確認することができる

  

また、これに従って左右のどちらか一穴に鍼をすると多くの病は改善傾向となる。

これにお灸で対処できれば、初発には左右の熱感の相違がある。

これに幾壮かすえてゆくと左右の熱感が調う。

すると病は改善傾向となる。

また、早く調えばより一層癒えやすくなる。

逆に壮数が増えると悪化だ。

体表の動きは様々なことを教えてくれる。

数多いツボの処置、「丁寧」な治療には分からない。

  

このような事に意を払えば、病の順、逆もよく判断できる。

陰陽平衡の法則

白馬連峰

昨日は二四節気では「小寒」

いよいよ寒さが本格的になる季節に入った

夏が猛暑の次の冬は寒くなることが多い

陰陽平衡の法則を考えると

夏の暑さは「陽」

冬の寒さは「陰」

陽極まれば陰となる

暑さが極まれば寒さも極まる

東洋医学の陰陽平衡の法則から

今年の冬は寒くなるははず・・・

もし暖冬ならば「狂」である

地球が狂っている

四季における陰陽の法則

患者さん提供写真

四季における陰陽の法則

≪黄帝内経・素問≫四氣調神大論篇 第四章 第二節より

人体においては、陰は部位としては内臓である

その機能は精気すなわちエネルギーの坦体である栄養素を産生する

同化作用である

陽は部位としては外表の皮肉筋骨である

その機能は、陰が生産した栄養素を使ってエネルギーを消費して活動を行う

異化作用である

秋冬には、活動を控えて栄養を貯え、春夏の活動に備える

これが陰気を養うことである

春夏には、この貯えた栄養素を使って活動する

それが陽気を養うことである

陰陽消長の法則

陰陽消長の法則

黄帝内経・素問 四気調神大論篇 第二 第四章・第一節

夫れ四時陰陽は 万物の根本なり

【訳】

四季における陰陽の消長によって万物は生成変化する

ゆえに、陰陽は万物の存在の根底であり、本源である

【注釈】

四季としての季節の推移は太陽エネルギーの

地上における消長によって起こる

陽は太陽エネルギーの隆盛をいう

陰は太陽エネルギーの消退をいう

これが陰陽の根本義である

これより、自然における陰陽

生物における陰陽

人間に起こる陰陽へと

陰陽の概念は発展していく