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TCHの症例

TCH(Tooth Contacting Habit)を「歯の接触癖」という

今日一日の診療でTCHと考えられる患者さんは9人

慢性的な頚肩部の痛みを訴える方の約3割が該当すると思われる

TCHが疑われる一症例

40代男性(銀行支店長)

慢性的な強い頚肩部痛の訴え

転勤があってから主訴は悪化

もともと歯列の乱れがあり

右第1臼歯の早期接触の為

L<Rで右の頚肩部が有意に痛む

第2頚椎は右に変位

慣れない環境により精神的緊張が強く

日常的にくいしばりを自覚されている

外側翼突筋を狙った経穴+右足臨泣の置鍼で

強い頚肩部の緊張は一気に緩んだ

東洋医学的には「瘀血」が認められるので

左右の風池から刺絡

弦脈も緩み主訴は寛解・・・

TCHの改善策6ヶ条

TCHの改善策6ヶ条

①緊張時、集中時にリラックスを心がけよう

②歯を接触させないように意識しよう

③うつむいた姿勢を長時間取らないようにしよう(スマホ、PC等)

④うつ伏せで読書をしない

⑤頬杖をつかない

⑥「リラックス」「歯(唇)を離そう」等の

  張り紙を目に付くところに貼ってみよう・・・

TCHの危険信号

TCHの危険信号は

疲労感を強く感じる

不眠が続いている

午後から頭痛がする(側頭部・後頭部)

慢性的に酷い頚肩のこりや痛みがある

強いストレスを感じる

抑うつ傾向がある

歯の接触時に顎の筋肉の疲労感を感じる

当院ではあらゆる主訴に対して

西洋医学的な原因を調べ

東洋医学的に弁証し

最後に嚙み合わせにチェックをすることで

TCHの可能性を視野に入れた治療も心掛けている・・・

TCHの判定

TCHの疑いがある方に噛みしめていないか伺っても

本人に自覚がないのがほとんど

そこでTCHを判定するための2つ視診方法は

①舌圧痕

舌の左右の側面にギザギザと歯の噛み跡が残っている状態

噛みしめが長期間になることで舌に跡が残る

歯並びが悪いために舌圧痕になることもある

②頬粘膜圧痕

頬粘膜という頬の内側の粘膜を上下の歯で噛み続けることにより

「頬粘膜圧痕」という白い筋のような線が出る

噛みしめが長期間になると白い筋はやや突起しくっきりとでてくる・・・

TCHとは

TCHは「緊張」や「集中」が必要な場面に起きることが多い

「仕事や対人関係の緊張」

「家事(掃除、洗濯、料理)の最中」

「車の運転中」

「テレビゲーム」「スマホ」「パソコン作業」

笑ったり、微笑んでいるときはない・・・

TCHとは

TCHは歯を接触させてしまうクセともいえる

歯は基本的に食事や会話などの際に

瞬間的に合わさるだけで

歯と歯が接触している時間は

1日のうちに20分以下といわれている・・・

TCHとは

TCH(Tooth Contacting Habit)

を「歯の接触癖」という

上下の歯の接触は、通常は食事中や会話中などにおこなわれる

TCHは接触の必要性がないときに

「弱い噛みしめ」

「食いしばり」

をしてしまい

それが癖になるという状態をいう・・・

顎関節症と線維筋痛症

ミシガン大学のKorszunらは

線維筋痛症または慢性疲労症候群の患者

および両方の疾患を合併している患者を調査し

42%が線維筋痛症や慢性疲労症候群の発症以前に

顎関節症の診断をされていたことを指摘

これらのことから重症化する顎関節症では、

線維筋痛症との合併を起こしている疑いが指摘されている・・・

顎関節症と線維筋痛症

ニュージャージー医科大学のRaphaelらの報告では

線維筋痛症との関連を示唆するような

全身に広がった痛みを伴う顎関節症では

顎関節症治療に一般的に使用されるスプリントは

効果がないといわれている・・・

顎関節症と線維筋痛症

ワシントン大学のRhodusらの報告によると

線維筋痛症患者の67.6%に顎関節症が認められる

顎関節症の平均的罹患率は約20%なので

67.6%の罹患率はかなり多い

顎関節症と線維筋痛症が合併しやすい疾患であることが解ってきた

舌痛症、口腔乾燥症などの口に関係した症状が

線維筋痛症では多く見られることも報告されている・・・