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胃の気

≪黄帝内経・素問≫平人気象論篇 第18 第2章

健康な人の日常不普段の栄養は胃から供給されている

”胃の気”があるということは

健康な人の日常の栄養が十分に供給されており

生気があるということである

胃の気がない人は生気がないということで

異常な状態である

※たとえば食欲がなく満足に食時が食べれれず

生気が弱り体ががしんどいという人等

補瀉失する勿れ

≪黄帝内経・素問≫脉要精緻論篇 第17 第4章

治療に当たっては、虚実の判断を正確にして

補瀉の選択を間違わないようにする

人の脈も生理も、天地の時間的(日月年)

空間的(風土)変化と相関している

この天人対応の法則を会得すれば

病の予後。転帰は一目瞭然に知ることができる

診断は、望診、問診によって行うものであるが

質問に答える声は五音の法則に合わせて判断し

脈の変化は陰陽の法則に合わせて判断するのである

※「人は自然に中から生まれ、自然とともに生きている」という

 東洋医学の”天人合一思想”の一部がここに表わされている

微妙在脈

≪黄帝内経・素問≫脉要精微論篇 第17 第4章

脈診する上で必ず確認すべき要点三つ

陰陽

五行(五臓)

四時(季節特性)である

陰陽によって病位(表裏)、病状(病理)がわかる

四時によって季節にうまく適応しているかどうか

正常との違いがわかる

これだけで病の大体がわかるのである

さらに虚実によって病勢と補瀉何れを選択するべきかもわかる

※脈診は東洋医学の診察で最も重要なもの

 鍼を打つ前に脈診することの意義は上記の他に

 ”胃の気があるかないか”

 すなわち正気のあるなしを確認する上で欠かせないのである

季節による脈状の変化2

≪黄帝内経・素問≫脉要精微論篇 第17 第4章

春は季節が陰から陽に移動する時

脈は沈から浮への移行状態を示す

夏は用の極で脈は盛大である

秋は陽から陰へ移動する時で

脈は譜浮から沈への移行を示す

冬は陰の極で脈は沈で石のように固くなる

今更言うまでもないが

脈診にはこういった季節性を考慮した観察が必要

季節による脈状の変化

≪黄帝内経・素問≫脈要精緻論篇 第17 第4章

脈が天体の運行とともに転変していくという

規模壮大な事柄についての解説

万物が存在する所

この宇宙空間の内において

天池の四季の推移変動に応じて

陰陽が変化していく様子を見るに

春の温暖な気候はやがて夏の炎暑となり

憤然として怒るが如き秋冷の気候は

やがて寒風怒号する冬景色となる

四季における気候の変動に対応して

脈もまたこれとともに変化するのである

人の生理機能の季節的変動その2

≪黄帝内経・素問≫診要脛終論篇 第16 第3節

三月四月は季春から孟夏にかけての季節である

天気は陽気がどんどん広がり

寒気の戻りもなく

温暖の季節となる

地気も安定して発散し

草木の新緑は鮮やかで

鳥は歌い、獣は走る

人の五臓では脾の機能が盛んとなる

人の生理機能の季節的変動

≪黄帝内経・素問≫診要脛終論篇 第16 第1章 第2節

正月、2月は孟春、仲春の季節である

天の陽気が広がり始め

日が少しづつ長くなり

冬の陰気が減り、陽気が回復してくる

地の陽気も動きだし

草木も芽生え、虫も眠りから目覚める

人の蔵では肝の動きが盛んとなる

人は自然の中に生まれ

自然とともに生きている

人の身体は自然界や四季の影響を常に受けていることを

2千年以上前の東洋医学最古の医学書≪黄帝内経≫に記述され

陰陽の循環、季節と五臓の関係が述べられている

四季の刺法

≪黄帝内経・素問≫診要脛終論篇第16

第1 四季の刺法を述べる

人の生理機能は季節的に変動し、生体リズムを刻む

三才的天人対応である

自律神経でいえば

春夏は交感神経が優位となり

秋冬は副交感神経が優位となる

陰陽でいえば春夏は陽実で

秋冬は陰実である

五臓六腑についても季節によって機能に盛衰、虚実があり

病の経過、予後を規定する

また季節病はこの基礎の上に成立する

そこで治療においても、季節についての配慮が必要となる

これが四時刺法である

生体リズムの治療的応用である

肝と筋、爪の関係

≪黄帝内経・素問≫五臓生成編 第十 第三節

肝と協力して活動と休養を主り

かつ肝の機能を反映するものは筋である

肝の機能が華やかに表れるところは爪である

肝の機能を制御するものは肺である

【解説】

肝は運動時にグルコースを放出して

筋肉にエネルギー源を供給し

筋はこれを使って運動を行う

両者はこの点で協力関係にある

腱にはコンドロイチン硫酸が多く含まれている

その代謝は肝で行われている

ここにも古代の叡智を認めることができる

爪は縦筋が多ければ肝鬱が認められ

横筋は過去のある時期に体調の悪化があることが見て取れる

肝と肺は相克関係(互いに影響し合う)にあるので

肝の治療で肺の経穴を使用することがある

肺と皮膚の関係

≪黄帝内経・素問≫五臓生成論 第十

肺と協力して気を主り、かつ肺の機能を反映するものは皮膚である

肺の機能が華やかに体表に表れるところは毛である

肺の機能を制御するのは心である

【解 説】

古代の医師たちは、肺が皮膚と合同関係にあることを如何に知ったのか

現代医学的にはともに呼吸機能を行い、相補的な関係にある

または肺は呼気として体液を輩出しており(不感蒸発)

皮膚の発汗とともに水分代謝に関係している

現代医学的には、心と肺は運動時に共同作業をしており

心不全では肺鬱血を起こし

肺炎時には心臓に負担がかかる

といったような相関関係が知られているが

2千年前に中国古典医学でこの関係を発見していたことは驚きだ