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フォーカルジストニア

音楽家の手の「神経障害」の中で

フォーカル・ジストニアという病気がある

これは「次第に指のコントロールが失われ

勝手に曲がったり伸びたりしてしまう」症状

シューマン等歴史上著明な音楽家も多くかかっている疾患で

西洋医学的には原因は不明とされ

プロの音楽家にとっては音楽人生をも左右しかねない病気だ

早期に鍼治療を始めると効果的であるが

初期症状は違和感や、動かしにくさで早期診断に繋がりにくいのが問題点

子供のころから毎日の長時間の反復練習を繰り返すことがきっかけとなりやすいので

指導者がフォーカルジストニアを勉強して理解することが最も大切

疑いがあればレッスンを休ませる

できれば鍼治療を早めに受ける

この程度の対策で進行は抑制され

発病せずに未病で治せる可能性がある

特に20代の発症が多いので音大の指導者は熟知してほしいと思う

頚部ジストニアに対するROTO Therapy

ROTO Therapyによる頚部ジストニアの症例

30代♀

数年前からの頚部ジストニアによる不随意の頚部左回旋運動

右上肢外旋系(SUPINO)障害Testで陽性

左三陰交切皮置鍼しつつ、頸部左右の自動運動を数回

治療後に正面を向けるようになる

明らかに有効で客観的にも付随運動がの消失を確認できた

経過観察が必要であるが

難治性の頚部ジストニアに光明が見えてきた

空間診によるジストニア治療

30代♀

頚部ジストニアによる頸の不随意運動

発症後4カ月経過

他院にて鍼灸マッサージ治療を受け悪化し来院

空間弁証にて「左上の気の偏在」

右天枢・右腎兪に蓮風鍼3番で10分置鍼

初診の治療後に症状緩解

難治性のこの疾患であるが、極めて経過は良好

ジストニアの空間論による症例が増えてきた

頚部ジストニア治癒

30代♂

5年前より左頚部ジストニア発症

ボツリヌス菌注射をするも一時的に改善するが治らない

鍼治療を根気よく続けて5年

長年内服してきたアーテン内服を中止しても悪化なし

現在は再発予防で月に一度の治療を継続中

極めて経過は良好である

ジストニア

ジストニアとは自分の意思に反して、筋肉の収縮や硬直が持続したり、繰り返し起こる病気

原因不明で難治性

頸が自分の意志に関わらず回旋する「頸部ジストニア」が多い

回旋する方向と反対側の胸鎖乳突筋の不随意収縮がおきる

SD(痙攣性発声障害)という声が震えて息苦しくなったり、

大きな声を出すと横隔膜が痙攣をおこす病態もある

鍼治療は有効で10数例の症例があるが

最近は全ての症例で有効性が確認できるようになった

体の空間的な上下左右の歪を整える鍼

主に後谿・太衝・肝兪を使って効果を上げている

SDについては、呼気を司る「肺」の募穴「肺兪」の左右整えの灸が奏功する

この疾患の鍼灸の有効性についてもEBMが得られるように症例を集積し

学会で発表したいと考えている