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慢性的なドライアイに鍼治療が著効

「慢性的なドライアイ」が鍼治療で緩解した症例をご紹介します。

患者:70代 女性 事務仕事でPCを4時間使用。

既往歴:2型糖尿病(インスリン自己注射使用中)慢性腎不全(G3bA2)

現病歴:2年前ごろから目の乾きを感じるようになる。

眼科にて視力検査、眼底検査するも異常なく「ドライアイ」の診断で点眼薬処方。

随伴症状として目の疲れ、ぼやける、ふくらはぎのひきつりなどがあり。

所見:眼瞼結膜の充血、頚椎前弯増強、腹診で心下に邪、太衝の実が顕著など

東洋医学的病態把握:肝鬱気滞〜肝気逆

治療:右太衝、風池

経過:初診治療直後に「目の乾きがましになった」とコメントあり。

2診目には、点眼薬の使用頻度が10回/日から5回/日へ減少。

自覚的な目の乾燥感も大幅に軽減しました。

この症例について・・・

ドライアイの、東洋医学的診断(弁証の分類)には

気滞(気のめぐりが悪い)、血虚(血が不足している)、陰虚(陰陽のバランスの乱れ)

などが挙げられます。

弁証のポイントとなったのは、運動後や入浴後に目のかすみが緩解するという点から

気の滞り(気滞)が原因と考えられました。

太衝や、風池は気をめぐらすツボですので、著効したことも狙い通りでした。

現代医学的には、鍼治療により網膜や結膜の血流が改善することで、

涙腺の分泌が促進された結果、眼の乾きが軽減したと考えられます。

※この症例のように、基礎疾患に慢性腎不全や糖尿病をお持ちの方は、

合併症により眼の症状が出る場合があるので、

初診時に眼科受診をされていない場合は、受診をおすすめします。

ドライアイ

ドライアイ(角膜乾燥症)

涙の量が少なくなったり、成分が変化する事により、

眼球の表面が乾燥し、傷や障害が生じる病気。(Wikipediaより)

【病態と発生】

角膜上の涙液は、油層、水層、粘液(ムチン)層で構成され、

いずれかの要素が欠乏しても安定性が崩れドライアイとなる

主にテレビ、コンピュータの画面を見る行為等による目の酷使

冷暖房による空気の乾燥化、コンタクトレンズの装着により発生が増加する

コンピュータ作業(VDT作業)によるドライアイは

画面を凝視し瞬きの回数が減少することによると考えられている

また、コンタクト装着によるドライアイのうち

ソフトコンタクトでは表面から涙液の蒸発量が増すため症状を引き起こす

現代人は目を酷使する事が多く、一般的なオフィスでは約30%がドライアイと言われる

コンタクトレンズを装着していると、その率は約40%と更に上がる。

【病因】

油層の異常:マイボーム腺機能不全

水層の異常:シェーグレン症候群

粘液(ムチン)層の異常:スティーブンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡

レーシック術後3ヶ月位は、起きるとされる。

【症状】
目がゴロゴロする
光がまぶしい
目の痛み
視界がかすむ
10秒間以上目をあけていられない
目の乾き
目が重たくなる
視力の低下
結膜炎など、目の感染症にかかりやすくなる

【東洋医学による分類】
1・肝血虚
 疲労や、ストレスにより肝血不足になる

2・肝鬱化火
 感情の乱れ(七情の気の乱れ)により肝気が上逆する

3・肝腎陰虚
 陰液不足により眼を栄養できなくなる

4・お血症
 血液の滞りにより眼を栄養できなくなる

鍼治療は上記の弁証により治法が異なるが

ほとんど速効性がある

VDTの過重労働とコンタクトレンズが原因の

ドライアイについては継続治療が必要